2008年9月27日土曜日

初めての塔ノ岳

 2008年9月27日、朝6時半に起床した。手早く準備して出発したものの、渋沢方面の山には雲がかかっていた。天気予報を信じるならば雨が降る事はないだろう。中止にしたいl気持ちはあったが、それではあまりに軟弱なので、そのまま向かう事にした。

 国道246号から県道706号へと入った。まだ朝なだけあって、半袖にGジャンでも心なし肌寒い。この周辺からのハイキングには、バイクにせよ自家用車にせよバスにせよ、県立秦野戸川公園が拠点となる。渡りはしなかったものの、そこにある風の吊橋は立派な物で、近場にこんな素晴らしい場所があるとは思ってもいなかった。
 県立秦野戸川公園に着いた際、警察官と話している男性が目についた。「一体何をしたのやら・・・」と飽きれていたが、私も同様に警察官のお世話になった。登山者カードの記入を促していたのだ。わざわざ促すだけあって、確かに登山客の量は多かった。
  7時50分に県立秦野戸川公園を発ち、鍋割山方面へと歩を進める。舗装された道を歩いていくと、まるで他人の家へ侵入するかのように細い道へと突入する。早速山道らしくなったかと思いきや、あっさり未舗装の林道へと出てしまう。
 傾斜の緩やかな林道が延々と続くので、まるで体力を削られない。流石にここまで緩やかだと逆に不安になってしまい、8時40分、ベンチのある場所で一服がてら位置を確認した。県民の森へと向かうゲートとの交差点を過ぎて間もなく、勘七ノ沢沿いの道になると二俣の駐車場は目前だ。しかし、ここで路頭に迷う。さらに奥へと続く林道はあるものの、ロープが張ってあり通行禁止の様に思える。そもそも私はハイキングに来ているわけで、もっと細い道を歩いてもおかしくないのである。後から来た登山客も迷っているのか、それとも私が迷っているのを楽しんでいるのか、先に進もうとしてくれないのでロープを越えて林道を進んだ。すると直ぐに道標が見えて、道が正しかった事を知る。
  ここからも大して急な傾斜は無く、林道をひたすら進む。道にはしばしば水が流れており、贅沢を言わなければ水には困らない林道ではあるが、何と言っても疲れない為、水場の世話になる事も無い。

 ミズヒ沢に着くと、道標から「鍋割山まで2.4km 所要時間1時間30分」と読み取れる。ここまで歩いた距離が5.3km程に対し、1時間半で来ているのだ。どんなに急でもこれは大袈裟だろうと思っていたが、その道標は現実的なものだった。
 沢沿いに少し登ると、いよいよ本格的な山道となる。急な傾斜がひたすら続き、一気に私の体力を奪っていった。登れど登れど実際にはまるで距離を稼げていない。途方に暮れていたら展望が開けてきたので、ようやく頂上付近かと思えば、そんな事はない。山頂までこの悔しさを何度か味わわされ、階段状になった道はドンドン私の体力を奪い、さらには周りは雲に覆われる始末。「もう鍋割山で終わりにしよう」と思いつつ、なんとか10時20分には山頂に到着した。この2.4km、立ち止まる事は多々あれど、休憩は全く取っていないのに1時間かかってしまった。
  朝食を食べていない事もあり、おにぎりを2つ食べて一服する。雲に覆われた鍋割山山頂も、時には雲が流れて秦野市が一望できた。否、それどころか南西に海が見えているので小田原市まで見えている。晴天だったら、どれ程の景色が拝めた事だろうか。
 山頂に着いた事だし、「もう鍋割山で終わりにしよう」という気持ちをどうすべきか検討しなければならない。来た道を引き返すならまだしも、先へ進んで二俣分岐から下るとなると、二俣へと出て緩やかな林道を下っていく事になる。出来ることなら同じ道は通りたくないので、そうなると金冷シから下るルートだが、そこまで行くなら塔ノ岳に行ってしまえという感じだ。この雲の中で塔ノ岳へ行ったところで、何が見られるわけでもないが、まぁ白い世界で震えていようではないか。

 10時35分に鍋割山を発った。もはや山頂から山頂へと渡るだけなので、あまり起伏がないことを祈った。実際それほどの起伏はなく、あっさり二俣分岐に到着。ここから塔ノ岳まで1.5km。雲も意外と流れてくれて、塔ノ岳を避ける理由は見つからない。
 大丸からかなり下って、金冷シの分岐に到着。塔ノ岳まで残り600m。余裕ではないか。と思ったものの、最後の200mぐらいだろうか、ひたすら階段を登らされる。これはかなり厳しかったが、11時35分、塔ノ岳山頂に到着。なんだかんだで1時間かかってしまった。
  山頂に着くと、いきなり鹿が2頭いた。登山客はかなりいるのに、のんびり食事を摂っている鹿たち。山道では人前に現れないクセに、山頂ではヤケに呑気なものだ。
 山頂からの景色は素晴らしい。雲がかかっているのは非常に残念だが、東から南まで半端ではない展望だ。さらには西に富士山が見える筈なのだが、残念ながら雲に隠れていた。
 これだけの街並が一望できるのだ、是非とも夜景も拝んでみたい。機会があれば、山頂の尊仏山荘に一泊して夜景を堪能したいものだ。
  11時50分に塔ノ岳を発ち、金冷シまで戻って大倉方面へと下った。秦野市街を正面に見ながら徐々に下っていくのは爽快だ。しばらく行くと階段地獄が待ち受ける。鍋割山同様、こちらもかなり整備されており、道が階段状になっているのだ。
 12時10分、花立山荘に着くと看板に”しるこ 300円”の文字が見えた。甘酒も豚汁も惹かれたが、お汁粉好きとしては汁粉を優先するしかない。よくよく見ると”カップ”とも書いてあった。あの3ヶぐらいパックで200円以下で売られている汁粉が、1ヶ300円で売られているのだろう。しかしここは値段よりも、今ここで汁粉を食べる事に意味がある。そういうわけで、早くも花立山荘で休憩を取った。

 花立山荘から少し下れば、木に囲まれ景観を楽しめなくなる。こうなると退屈な階段地獄との闘いである。iPodを忘れてきた事は大失敗だった。
  13時02分に駒止茶屋で一服し、途中の分岐で大倉高原山の家へと向かい、13時38分、顔を洗って休憩。ここまで来ると後30分程の距離なのだが、iPhoneをいじり出したりと、完全に山に対して飽きてしまった。ヤル気ゼロでダラダラと惰性で下りて、14時15分、ようやく県立秦野戸川公園へと戻ってこれた。
 山頂からの景色は素晴らしかったが、とにかくあの階段地獄は好めない。どちらかと言えば二度と登りたくない山である。
 疲れた脚を癒すため、県道706号の途中から抜けてスーパー銭湯”湯花楽”へと向かった。温泉ではなく銭湯なだけに、こういう通りすがりでない限り来ようとしないだろう。
料金は土日祝日850円に加え、貸タオルが300円。銭湯の分際で微妙に高いのが気に入らない。それを除けば悪いのだが、特筆すべきところもないので、再び来るとは思えない。唯一気になったのが、寝転がってお湯に浸かれる寝湯なのだが、一応全身が浸かる程度には湯がはってある為、陰部をタオルで隠すとなると湯にタオルを浸けねばならない。それはマナー的にどうかと思うし、かと言って私の”まっくろくろすけ”を晒すのも人様にしては迷惑なので、のんびり浸かる事は出来なかった。

 約6時間半の登山の疲れが、そう簡単に抜ける筈もなく、湯花楽を後にしてプラプラ寄り道しながらも4時過ぎには自宅に着いた。

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