2009年5月23日土曜日

バイクで山越え大井川

 2009年5月23日、朝5時に起床するところ、二度寝により30分が過ぎた。ある程度の支度は昨晩しておいたので、朝食を摂り出す物を出して6時半に出発した。二度寝した分がまんま影響している。
 飲み物を買うため小山町のコンビニに立ち寄った。富士山がチラリと見えたものの、天気予報通り未だ曇天だ。富士山スカイラインに入ると徐々に空が晴れてきた。なんとなく立ち寄った水ヶ塚駐車場では晴天で、富士山がハッキリと見えてテンションが上がる。
  水ヶ塚駐車場を出て富士宮へ下り始めて間もなく、雲の中に突入したのであろう。目の前は霧に覆われた。五分丈のTシャツにGジャン、時刻は8時前という事もあり、陽を遮られた世界で風を切るのは厳しいものだった。
  8時25分、富士宮市の”白糸の滝”に到着。空には晴れ間が見え、Gジャンを着ていては若干の暑さを覚える程だった。
 まず最初に見る事になるのが”音止めの滝”だ。豪快に流れ落ちる太い滝。三脚を使ってスローシャッターで撮ろうとするが、日差しが強すぎてオーバーしてしまう。
 先に進めば白糸の滝が見え、階段を下ればさらに間近で見る事ができる。無数の細い滝が流れ落ちる姿はその名を表しており、実に美しい。但し無数の水飛沫が宙を舞っている為、スローシャッターでは写真が白っぽくなってしまう場合があった。
 この2つの滝周辺は、観光地として力を入れている感が実に漂っており、それに頷けるほど美しい滝だった。

 9時15分、白糸の滝を後にして北上した。国道を走るつもりが県道を走り続けており、自分が人穴に入った事に気づく。この土地が人穴と呼ばれる様に、ここには人穴という洞窟がある。その由来を知っただけなら行く気にもなるのだが、最初に得た情報が心霊スポットとしてのものなので昼までも行きたくはない場所だ。
 “もちや遊園地”という場所が気になっていたのだが、傍から見る分にはどうでも良いものだと判明した。とはいえ、ここには”もちや二輪車会館”もあるので、いずれ纏めて訪れたい場所だ。
 国道139号を北上していると、右手に富士山が雄大な姿を現した。立ち止まりたいところだが、この先で同じものを見に行くわけだから、そのままバイクを走らせた。
  9時45分、”富士芝桜まつり”の会場に到着。駐車場に入る前に、係の方が残念な花の咲き具合を教えてくれた。親切な心配りである。
 GW後半は雨、その後も週末は天気に恵まれず、本日に至ったこの計画。花の咲き具合は先刻承知である。富士山がハッキリ見えているだけマシではないか。
 実際に見てみると、確かに残念かもしれない。青々としていても良い場所に感じたが、芝桜が咲き乱れた光景を想像すると、来年も来ざるを得ないと思った。

 小腹が空いたので何か食べようと思い目に付いたのが”信玄モッフル”。ワッフルの形をした餅なのだが、食べてみると1ヶ350円は高い気がした。餅を変形させた分、中のモッチリ感が殺されている。見た目には斬新かもしれないが、まるで角餅を越えられていない。

 10時30分、芝桜まつりの会場を後にし、本栖湖へと向かった。旧五千円札の”さかさ富士”を期待しての事だが、その条件を知らなかった事もあり、さかさ富士は見れず。しかし富士山は美しかった。さかさ富士の条件は湖面が静かである事。つまり、風が無く、ボートも浮いていない早朝がベストとの事だ。来年の富士芝桜まつりに訪れる際には、何よりもさかさ富士を優先した計画にしよう。

 本栖みちを通り下部に出ると、小さな吊り橋が見えた。立ち寄って写真を撮っていると、タイミングよく身延線が走ってきたが、距離はあるわ心の準備はないわで、ファインダーには収めたものの、ただそれだけの写真だった。
 解体途中の旧橋が印象に残る富山橋を渡り身延へ。ここから県道32号に入ろうとするが、ガソリンスタンドを探す事にした。白糸の滝から補給する機会がなく、遂にはここまで来てしまったが、ここから先はさらに期待できない。コンビニに立ち寄り缶コーヒーを買いつつ、スタンドの場所を尋ねた。少し北上する必要はあったが、これを逃す手は無い。

 県道37号に入り西へ。早川町でスタンドを発見したが、営業していた様なしていなかった様な・・・。県道810号に入って間もなく、雨畑湖のある雨畑に着く。静けさというより寂しさの漂う雨畑湖。この土地に宿泊したら何をして良いのか分からない。静かな事だけは想像できるので、まさに何もしたく無い旅には最適だろう。
  延々と道を走っていると、”見神の滝”という表示が見えた。結構な高さがあるので滝として見応えがある上、その前にある水車が良い味を出している。しかし、水は流れていても水車は回っていなかったのが残念だ。紅葉の時期に見ると良いかもしれない。
  ここからは地獄である。頻繁に曲がりくねっている上、舗装されていても石が転がっているので安心できない。しばしば土砂崩れの形跡も見られ、不安がいっぱいだ。こんなスピードの出せぬ状態で、山伏峠まで16kmの表示を見た時は絶望に襲われた。
  13時10分、危うく素通りするところだったが、山伏峠に着いた。かなり時間が押していたので徒歩で山頂を目指す様な事はしなかったが、写真だけは何枚か撮った。行く手には雲が見えていて不安である。

 山伏峠から井川へと下るが、やはり路面は最悪である。砂利にタイヤを取られる事もあり、気が気ではない。井川湖が見えようやく落ち着けるかと思いきや、道の幅自体は狭いままなので、湖に目を取られて危うい場面もあった。
  13時56分、井川大橋に到着。吊り橋のクセに2トン以下の車なら通れるという強者である。実際に車が走った姿を見てしまうと、徒歩では安心して渡れない。時間を節約するべく、渡らずに後にした。井川大仏も、徒歩5分の入り口まで来たが省略。何よりも見たいのは、奥大井湖上駅(井川線付き)と大井川鉄道のSLである。

 奥大井湖上駅を見逃すまいと、チラチラ横を見ながら細い道を進む。なんとも危険である。いくつかのトンネルを抜けた後、左側に駐車できるスペースを発見した。そのすぐ先から見えるのは、私の求めた奥大井湖上駅。何の為に存在するのか分からない奥大井湖上駅。その駅に降りた際、そこに誰も居なければ、次の電車が来るまで自分だけの世界なのは確実な駅である。但し、私の様に上から眺めている者がいる事は覚えておくと良いだろう。
 井川線が来るのが15時15分。これを待てば本日最終の千頭発15時23分のSLを逃してしまう。従って井川線は断念。今年の秋は奥大井湖上駅に立ちたいものだ。

 長島ダムの辺りで、やけに急勾配な線路を見かけた。その時はその程度の認識だったが、そこが井川線がアプト式である理由だという事は帰宅してから知った事だ。
  前回はバスの中から眺める事しか出来なかった奥泉の公衆トイレ、そして千頭駅へ向かう道中の景色を写真に収めつつ、15時10分、道の駅”奥大井音戯の郷”に到着。少し休もうと思ったが、未だSLの撮影場所を決めていなかったので、撮影スポットを探すべくSLより先行する事にした。ついでに次発のSLを見たのだが、蒸気機関車の後部が前を向くパターンっぽい。
 国道362号を走って撮影スポットを探すものの、徐々に線路から離れていった。撮影スポットなど見つかる筈もなく、SLに抜かされやしないか不安になる。下泉駅の手前で県道77号へ。私の下調べ不足だったのだが、千頭から県道77号沿いを走っていれば、大井川鉄道を見失う事は無い。
 下泉駅の先で良い場所があったので、一旦立ち止まった。まだ10分以上先行していたので、一駅先の塩郷へ向かう。以前SLに乗った時、塩郷の吊り橋がやたらと長く感じ、歩いてみたかったのだ。
  停めて良いのか知らないが、吊り橋付近に駐車できる場所があったのでバイクを停めた。若干時間に余裕があったので吊り橋を往復しようとしたが、前のカップルが遅くて断念。吊り橋の上でSLが来るのを待ったのだが、大井川の遥か上に架かる吊り橋である。道路よりも上に、線路よりも上に、しかも年期の入った木製の吊り橋。今まで渡った吊り橋の中で最もスリルのある吊り橋である。
 私の決めた撮影ポイントと多少ズレるが、人が交差できる場所でSLが来るのを待つ。すると5名ぐらいの団体が来た。流石に他の人が歩くと揺れを敏感に感じる。それが特に強いと思ったら、1名小走り気味ではないか。若さとはこういうものかもしれないが、貴様は阿呆だ。それは勇気でも何でもなく、ただ阿呆なだけだ。
 そうしていたらSLが来たので、早足でポイントへ向かう私。早足だし、距離は短いし、向かいから来る人はこれ以上前進する気配はなかったし、撮影を狙っていたもう一人の為に若干ポイントをズラしたし、私の行いは良しとして欲しい。

 16時7分、道の駅”川根温泉”で小休止。ここで本日20時からの英会話レッスンを諦めた。寄り道しないで帰れば未だしも、残りの目的地を諦めてまでレッスンを受ける必要もあるまい。
 県道64号で島田市街に出て、”蓬萊橋”へ。「世界一の長さを誇る木造歩道橋」としてギネスブックに認定された、大井川に架かる橋である。長さ897.422m、単身で早足気味の私でも、片道で約10分かかった。

 17時26分、蓬萊橋を後にし、吉田I.C.から東名高速へ。チキンな私が苦手とする高速道路である。高速道路に乗って間もなく、80km/h前後で走るYakultのタンクローリーを見つけたので、これに付いていく事にした。風の抵抗が弱く、精神的にも楽で良いのだが、少しばかし遅い。目的とする富士川S.Aの位置をよく把握していなかった事もあり、休まず走り続け、18時30分、富士川S.A.に着いた時はヘトヘトだった。
 清水I.C.の辺りから空は雲に包まれていた事もあり、沈みかけた太陽の光はほとんど届いていなかった。前回恐怖を覚えた大パノラマは、走っている最中に突然現れた事と、快晴だった事によるものかもしれない。それに比べれば、今回の景色は何とも退屈なものであった。
 出発しようと思った矢先、軽く便意を覚えた。便意の為に立ち止まるのも何なのでトイレに行ったのだが、財布とカメラはバイクに置きっぱなし。何事もなかったが、落ち着けず出し切った感は無い。

 19時20分、富士川S.Aを出たものの適度な速度の車が見つからず、単身トロトロ走って19時40分には沼津I.C.に到着。このまま高速を走り続けるぐらいなら、箱根を越えた方がマシだと考えたからだ。
 陽は完全に落ちており、箱根に向かえば向かうほど気温も下がる。それなりに慣れた道の筈だが、それでも存在を忘れていた函南町。
 道の駅で休憩を取ろうと思っていたのでエコパークは素通り。そして気づいたのが、箱根新道への分岐は、道の駅より手前にあるという事。休む場所を失い、尻の痛みを堪え、寒さに凍えながら、どうにか箱根新道を抜けた。この辛さに加え、ガソリンが切れる事への恐怖。南アルプスの悪路、それに対し東名高速、これらがどれだけ作用したか分かる筈もないので、沼津では給油せず箱根越えに挑んでいたのだ。

 箱根新道さえ抜ければ、何処でガス欠を起こしても問題ない。コンビニで一休みし、残り僅かな距離を走る。自宅の近所で給油をし、21時4分、自宅に到着。スタンドを出てすぐに雨がパラつき始めたので、頑張った甲斐があったというものだ。

 真っ先に風呂に入り、芯から冷えた肉体を温める。いつも思う事だが、1日にこんなに走るのは体に宜しくない。

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