2010年10月17日日曜日

大井川散策

 2010年10月17日、4時半に起床し支度を開始。5時48分の電車に乗り、小田原発6時15分の新幹線に乗り換えて静岡へと向かった。金谷に着いたのが7時21分。片道の乗車券だけで2,210円と結構な距離ではあるが、金谷でさらに7時36分発の大井川鐡道に乗り込んだ。切符は5,500円の「大井川・あぷとラインフリーキップ」を購入。ここが旅のスタートラインと言っても過言ではない。
 前回利用した時は往復共にSLだったので通常車両は発。観光客を考慮してか全席BOXシート。古い車両らしい独特の臭いが漂う。紅葉シーズン前だからなのだろう、車内はガラガラで、BOX席を一人占めする事になんら問題は無かった。
  大井川沿いを走ること1時間13分。千頭からバスに乗り換えた。本来なら井川線に乗り換えるところだが、土砂崩れのため奥泉まで運行休止中なのだ。線路もトンネルも土砂の下。果たして復旧する日が来るのだろうか。
 このバスの車内放送で知ったショッキングな事実。それは、今月4日に熊が出没した為、秘境駅の一つ尾盛駅での降車が禁止とのこと。これに伴い私のタイムテーブルもガタ崩れ。計画を立て直そうにもiPhoneは圏外。なんとも困ったものである。
  奥泉で20分ほど待って井川線に乗車。何処から集まってきたのか知らないが、観光客の量が増大した。
 
アプトいちしろ駅でアプト式鉄道を連結するため停車。この連結シーンを見ようと乗客がこぞって下車するのだが、私はそんな人々を客観的に眺めていた方が楽しい。
  9時57分、秘境駅の名に相応しい奥泉湖上駅で下車。湖に囲まれたそこにあるのは、人気の無いコテージのみ。ここで一人読書を楽しもうとしていたのだが、意外と人が降りてきた。これを避ける為に紅葉前に来たと言うのに台無しである。
 気分を害したので早々に駅を後にし、レインボーブリッジを徒歩で渡った。そう、レインボーブリッジの脇は歩道になっているので、次の接岨峡温泉まで歩いていけるのだ。便利ではあるが秘境度減である。

 10時半には接岨に到着。県道を歩いている最中に川向こうに見えた八橋小道ラブロマンスロード。8つの吊り橋が架かっていて魅力的ではあるが、本日の旅にラブもロマンスも無いので私に歩く資格があるとは思えない。
 県道沿いに公衆トイレがある。こんな土地にある割には綺麗な方だ。
 橋を渡って接岨峡温泉の前を通り、関の沢鉄橋を観に歩く。土砂崩れのため車両通行禁止となっている道路。荒れた道を歩いていると左手に橋が見えた。そして右手には廃墟らしき建物。「関の沢鉄橋が見える保養所」的な感じだが、交通の便を考えると、そりゃ荒廃もするだろう。
  橋は見えても展望台はまだ先で、到着したのが11時08分。次の電車が尾盛18分発なので、食事を摂ったり一服したりして待機。
そして電車がやって来た。乗客の為か展望者の為か、橋の上で暫く停まってくれるので気楽に撮影。こう見ると、まるで豚だな。これから売られて行く豚どもがブーブー喚いているようだ。なんて、かなり距離が離れているので、普通のズームレンズでは乗客なんて確認できない。
  撮影を終えて閑蔵を目指す。新接岨大橋を潜れば駅は近い。民家を2つほど過ぎたら駅らしくない駅に到着した。僅か2,3件の民家の為に存在する閑蔵駅。閑散としていて素敵だ。そして、意外と駅ノートに記入がしてあった。
12時8分、閑蔵発。多くのトンネルを潜り抜け、チラリチラリと大井川の景色を眺め、12時26分、終点・井川に到着。近くにレンタルサイクルがあるような無いような。パッと見では分からなかったので、サッと井川ダムまで行って12時46分の電車に乗り込んだ。

 降車は出来ないものの尾盛駅に一応停車。建物なし、人気なし、それ以前に道がなし。そんな素敵な尾盛駅。まぁ見れただけでも満足だ。
  13時23分に接岨峡温泉駅で下車。時間が余っていたので、資格は無いが八橋小道ラブロマンスロードを歩く事にした。北側から南アルプス接岨大吊橋へと歩いていったのだが、最初2つの犬返り橋と宮沢橋は距離と傾斜があって面白い。どちらかと言うと、この2本を最後に回すべきだろう。

  この八橋小道ラブロマンスロードを歩き始める際、とある御年配の女性に声を掛けられた。「男の子1人と女の子1人が帰ってこないので、居たら戻るよう言って欲しい」と。しかし歩けど歩けど見当たらない。そもそも「子」と言っても何歳なんだ。「何年も前に心中を計った若いカップルが未だに戻らない」とかだと、私は安請け合いをするべきではなかったのだろうか。そんな不吉な想像をしていたら、何処か遠くで少年少女の声がした。あぁ、既に大吊橋を渡り終えてるよ。あの女性、どんだけ待たされているんだろう。

 気は乗らなかったが声を掛け、「お婆ちゃん(?)が呼んでるよ」的な事を伝えたのだが、「知りません。スイマセン。」と目も合わせずに返された。見知らぬ一人の男性に対し、その警戒心は重要だ。それで引き返し始めはしたのだが、遊びながらなのでペースは遅い。私の行いは報われず、実に寂しかった。

 まだ1時間ほど余っていたので、接岨峡温泉駅前の森林露天風呂で入浴。入浴のみなら500円。レジ横にハンドタオルが積まれているので、適当に使って良い。温泉の良し悪しは分からない人なので、貸切状態だっただけで満足である。
 15時1分の接岨峡温泉発の電車に乗り、奥泉でバスに乗り換え千頭に戻った。
  16時10分の千頭発に乗車。旅も終わりと言いたいが、さらに秘境駅をもう一つ。神尾駅である。最寄りの集落まで1.5kmだとか、とにかく周囲に何も無い。しかし狸の置物と大井川の絶景のお陰で寂しい思いは・・・するって、そりゃ。17時5分から18時4分までの59分間、しかも待っている間に日没を迎えてしまう。
 細々と灯りがあるとはいえ人気が完全に無いので、37分の電車で福用に戻った。福用も福用で何も無いが「何も無い」の次元が違う。しかしこれは失敗だった。神尾の駅ノートを見忘れてしまったのだ。なんでも「AIR」というゲームの登場人物に因んだ萌ノートと化しているらしく、是非とも覗いてみたかった。再度降りるには時間が遅すぎるので、悔しいが断念。
 18時23分、金谷に到着。JR一本で帰れるところまで戻ってきた。でも未だだ。最後のイベントが待っている。東静岡駅に聳え立つ等身大ガンダムである。
19時9分に東静岡駅に着き、北口へと出たものの、敷地は18時で閉鎖。ライトアップもされておらず、薄暗闇の中にヤツは立っていた。でも良いや。とりあえず来て見たわけだし。お台場版にサーベルが増えただけでしょ。

 19時33分の電車に乗り、のんびり各停で帰ること111分。私の旅は終わりを告げた。

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