2008年2月11日月曜日

広島カボチャ

 1945年8月6日、その地で多くの日本人が消滅した。原子爆弾を落とされた史上唯一の国”日本”。その悲劇の地となった広島、そして長崎。私たち日本人はこの悲劇を忘れるべきではなく、如何なる理由の下であろうとも、戦争を肯定するわけにはいかない。この度、私は広島を訪ねる機会に恵まれた。目的は、第二次大戦中に友好国であったドイツの方との交流である。ついでで申し訳ないが、これを機に、日本に起きた最大の悲劇を肌で感じることにした。
2008年2月9日、今にも雨が降りそうな天気の小田原を後にし、新幹線へ乗り込む。乗り換えの為に一時下車した名古屋は寒い。それもその筈だ。けっこうな雪が降り始めている。少ない待ち時間を使い、名古屋名物きしめんを喰らう。名古屋でするべき事をした気分だ。
 京都と大阪は白かった。この調子なら、白銀の広島が待ち受けているかもしれない。滅多に雪が降らない小田原の住民としては、かなり期待したいところだ。そう思いきや、新神戸を過ぎたあたりから状況が怪しくなってきた。雪の積もっている土地もあれば、そうでない土地もある。広島が近づくにつれ、晴れ間さえ見えてきた。これはもう絶望的だ。しかし小生、雪はみたいが寒いのは嫌いである。広島は天気が良くて暖かく、これはこれで幸運に恵まれた。

 広島という街に何を期待していたのかは、自分でも分からない。所詮この地も日本である。街並自体に新鮮味は無い。粋な物を言えば路面電車だろう。市内一律150円と、旅する者の気分を害さぬ良心的な料金だと思う。
路面電車に乗り深谷町へ。そこから徒歩で平和記念公園へと向かう。

 資料館本館を背にすると、慰霊碑と原爆ドームが直線上に並び、その悲惨さを訴えてくる。流石にこれを写真に収める事はできない。この光景を被写体として収めるのではなく心の中に収めることが、死に対する感情の薄い私なりの敬意だ。
 原爆ドームを経由して、広島城へと向かう。南西から眺めた広島城は素晴らしく、綺麗な二の丸がその感情を後押しする。されどそこに城壁などは見られず、城はあれども跡地率が高すぎた。これならば、私の地元にある小田原城で充分ではないか。特に城に興味があるわけでもなく、歴史にも興味のない私は、跡地で感動することは出来ない。
 そうとはいえ、ここまで来て城に入らぬのも損である。入館し、一通り軽く見てきたが、私の脚には間違いだった。リングブーツで歩き回った為、脚全体が限界に近い。一人で行動する割に、一人での休憩が下手なのが私である。一人で一所に休んでいると、全く落ち着かないのである。

 計画していた観光は終わったが、ホテルのチェックインまで2時間はある。歩きたくはないが、休むのも苦手なことだし、必要最低限の道を探索することにした。
まずは宿泊先である広島パシフィックホテルの場所を確認。そこから八丁堀までの距離を確認し、そのままアーケード街で食事を摂ることにした。折角の広島旅行なので、やはり広島らしい食べ物を食べたい。されど疲れ果てている私には、見慣れたファーストフード店の方が落ち着ける。食事はロッテリア、時間つぶしに立ち寄った店は玩具屋2件とゲームセンター。やはり私は、旅が下手である。
 16時になりホテルへチェックイン。もう外へは出たくない。しかし出なければならない。これからドイツ人と会うのだから。

 17時を過ぎPARCO本館へ向かう。そこの10階にあるのはクラブクアトロ。私が会いにきたドイツ人達は、メロディアス・ジャーマン・メタルと呼べるジャンルを確立した人達である。今更ながら言葉を訂正すると、私は彼らに会いにきたのではなく、彼らを見に来たのだ。
 コインロッカーは少なく、残念ながら利用はできなかった。上着を手に持っての参戦となる。手荷物をホテルに置いてきただけでも良しとしよう。
 久々のライブハウスで勝手を忘れていたが、コップ一杯のドリンク代500円を強制的に払わされるというのは、大きな疑問を感じる。

 まずはGamma Rayの登場。選曲は素晴らしかった。こういった激しいライブに来るのは10年ぶりなうえ、上着を手に持っているため、曲にのるのに躊躇していたが、私の見る限り観客のノリが悪い。小生、天の邪鬼ゆえに、ここは頑張らねばならない。
 徐々に前へと詰めて行き、Ride the Skyで一気に詰めた。観光での疲れもあり、Somewhere Out in Spaceが終わった頃には、私の体力は限界に来ていた。そして、気持ち的にも満たされていた。
Helloweenが演奏している最中、何度も後ろへ下がろうと考えた。Eagle Fly Freeは終わったし、体力は限界だし、何よりも私が手に持つ上着に他の輩の汗がつくのが嫌だった。そんな我侭な気持ちを抑え、結局最後まで前の方に居た。HelloweenとGamma Rayの共演、体力が底を尽きても、この夜に悔いを残したくはなかったからだ。

 完全に脚はバカと化した。フラフラしながらホテルへ向かい、すきやで夜食を摂取。もはや食べ物に広島らしさを求める余裕は無い。ライブの後は風邪をひきやすい故に、風呂にのんびり浸かり、ただ寝るだけだ。

 翌朝2月10日、6時半に起きて支度を開始。広島駅まで徒歩15分ほどで着いた。駅弁を買いたいところだが、朝から御飯は重いので、サンドイッチを購入。
 7時45分の新幹線で広島を発つ。神戸から先は白かった。この白さが何処まで続くか期待したものの、その期待は名古屋を過ぎた時点で終わった。神奈川は駄目かと思っていたが、小田原を過ぎるとチラホラと雪の跡が見られる。やはり小田原は駄目なのだ。周りの山が雪を全て奪ったしまうから。
 新横浜で横浜線に乗り換え町田へ向かう。友人達と落ち合い、昼食を摂った後ボーリングをしに向かう。南側とは対照的に、北側は居住地域だった。そこにはマンションとラブホテルしか見えない。そんな中にひっそりとあるボーリング場は、かなり場違いな感じがした。
 昨日の疲れも大して抜けておらず、真剣に狙ったところで無駄な足掻きだ。13号のボールを投げた時の私の平均球速は30km/h前後。私の球は速いとか勢いがあるとか言われるが、私としては自然に投げているだけなので自覚はしていなかったが、数値で見た事で自覚することが出来た。ちなみに、11号だと35km/hを出す事が出来た。ボーリングが球速を競う競技でないのが残念だ。

 17時前には解散し、小田急で小田原へと向かう。座れたことは幸いだった。18時半頃、我が家に到着。過去の経験から言うと、肉体を癒す旅行は私には無理だ。

参考までに、東京公演のものだがセットリストを載せておく。
●GAMMA RAY
01. Welcome
02. Into the Storm
03. Heaven Can Wait
04. New World Order
05. From the Ashes
06. Fight
07. Valley of the Kings
08. Rebellion in Dreamland
09. Heavy Metal Universe
10. The Silence
11. Ride the Sky
12. Somewhere Out in Space
13. Send Me a Sign

●HELLOWEEN
01. Introduction
02. Halloween
03. Sole Survivor
04. March Of Time
05. As Long As I Fall
06. A Tale That Wasn't Right
07. Drum Solo
08. King For A 1000 Years
09. Eagle Fly Free
10. The Bells Of The Seven Hells
11. If I Could Fly
12. Dr. Stein
13. Medley:
Perfect Gentleman Pt.1~I Can~Where The Rain Grows~
Perfect Gentleman Pt.2~Power~Keeper Of The Seven Keys
14. Future World (with GAMMA RAY)
15. I Want Out (with GAMMA RAY)