2009年6月27日土曜日

水無き地獄の檜洞丸

 2009年6月27日、朝5時に起床し5時48分には家を発った。コンビニで昼食を調達し、6時40分には西丹沢自然教室に到着。山登りの際に準備運動をしているわけではないので、一服して6時52分には出発した。
  コースによっては先にある用木沢出合まで車で行くのも良いが、今回の私の計画では都合が悪いので、用木沢出合まで歩いた。7時14分、用木沢出合でゲートを避けてそのまま直進。暫くは舗装された道が続くだけあって、傾斜もきつくない。その先もそれ程ではなかったので歩き続けたが、7時55分、人工の滝が珍しくセメント製ではなかったので、これを眺めるついでに一服した。
  大理石の滝と呼ばれる白石滝が左手に見えたものの、木々が邪魔をしてその滝の魅力がまるで伝わらなかった。
 基本的にこのコース、ひたすら沢沿いを歩いていく。稀に沢から離れる時もあるが、とにかく水には困らない。この調子なら川の始まりが見れるかもしれない。川の終わりが海であるなら、始まりは何処なのか?その疑問が解決するかもしれない。そして本日得た解がそこにあった。大地から湧き出る水が小さな川となり、それが集まり我々の知る川となる。湧き出ている箇所は小さいものの、そこから出来た川はそれなりの水量を持っていた。自然とは何とも凄いものである。
  沢が枯れた辺りで、白石峠まで残り400mとなった。これまでと比べれば急傾斜だが、殺人的な傾斜は一部しかなかった気がする。
 8時50分には白石峠に到着したが、とにかく虫が飛んでいる。山だからといってトンボやチョウではなく、ハエやハチである。後は小さくて良く分からない。とにかく邪魔なものが飛んでいるだけである。そんな環境で食事を摂る気にもなれず、加入堂山へと向かった。
  白石峠から加入道山山頂までは600m。15分で到着したが、状況は変わらなかったので一服して先へと進んだ。

 加入道山山頂を少し先へ行けば、大室山が正面に構えている。標高170mの差が嫌になった。破風口へ向けて下り、そこから一気に大室山へと登らされる。しばらくは鬼の様な傾斜が続いた。
 途中で南側の山々が見えたものの、出来れば見慣れぬ北側の山梨県を見たいところだ。しかし夢は叶わず、テーブルが見えた。大室山山頂である。
  と思ったら、そこは稜線分岐。そうである。大室山山頂は若干コースから外れる事を忘れていた。山道の300mは長いものだが、ここまで来て寄らないのは勿体ないので大室山山頂へ。10時12分に到着したが、そこにはテーブルというかベンチが無かった。相変わらずハエは飛んでいる。そして汗だくの私に集ってくる。これで食事を摂ろうものならオニギリがハエの餌食になりかねない。仕方なく食べながら歩く事にし、稜線分岐で15分の休憩を摂った。

 大室山から檜洞丸へ行くには、一旦犬越路まで下りねばならない。その距離2.4km。嫌とも言えないので、とにかく下りた。登りにくらべれば景色がチラチラ見えるが、これから向かう檜洞丸の比にはならない。
  11時31分には犬越路に着き、ここで休憩。景観は良いが日差しを遮るものが何も無いのは辛いところだ。
 ここで前半戦が終了した様なものなのだが、このまま後半戦に突入して良いものか悩んだ。正直なところ脚が疲れた。かといって、犬越路から用木沢出合への道中も、見所はあれど退屈だった覚えがある。
 ともかく組んだ予定は実行あるのみ。檜洞丸へ向けて3.0kmの道のりを歩き始めた。

 犬越路と檜洞丸の標高差は540m。3.0kmの距離を歩きながら再び登らねばならないのだが、この道のりはとにかくアップダウンがキツい。12時21分には最初のピーク小笄(しょうこうげ)に着いた。何も表示は無いが、おそらく小笄山頂だろう。
 ここで飲み物が終了。水場と言えば檜洞丸を下った先にある川のみ。かなり絶望的である。

 小笄の先に待ち構えるのは大笄(おおこうげ)。見るだけで登る気を無くさせる。
 登った先が山頂かと思えば、さらに登り道が見え絶望。そんな事を3回ほど繰り返しただろうか。この道中からの景色は絶景なのだが、脚は痛いは喉は渇いたはで、あまり感動している余裕が無かった。
 なんとか大笄山頂に着くと、やっと檜洞丸への道のりが現れた。さらに高い檜洞丸。助けて下さい。
 大笄山頂のすぐ先に神ノ川へ下る分岐があり、12時59分、ここのベンチで休憩にした。煙草を吸って喉の渇きを促進したくはなかったが、この時の私の気を和らげる事が出来るのは、ずばり煙草だけである。

 次のピークとなる熊笹ノ峰への登りはそれ程きつくはない。疲れ果てた私でも許せた程度だ。そこを越えればいよいよ檜洞丸へ。最後の急傾斜は尋常ではないが、この急傾斜が檜洞丸ならではの絶景を作ってくれているのだ。
 まぁその絶景も、この時期の霞んだ空では台無しだ。秋晴れの澄んだ空で見た時と比べれば、疲れた肉体を癒す程ではない。
  急傾斜を登りきってから100m。13時37分に檜洞丸山頂に到着した。しかし喉の渇きを癒すものもないので、10分ほど休憩して下山を開始した。

 水場となるゴーラ沢出合までの所有時間は90分。疲れた脚で下りを急ぐ事も出来ず、ただただ耐えるしかない。意外と早い頃から遠くに川のせせらぎが聞こえ、これがまた拷問に近かった。

 展望台にも一向に達する事が出来ず、14時34分、適当な場所で腰を落とした。展望台はここからすぐ下だったが、もはや眺望などどうでも良く、とにかく水を求めて先へ進んだ。展望台からゴーラ沢出合まで30分程。流石に川の音が大きくなってくるが、視界には入ってこない。視界に入ってきたとしても、遥か下。崖を飛び降りたいほど水が恋しい。
 ゴーラ沢出合に到着したのは15時19分。約3時間ぶりに口にした水は、とても美味かった。脚を川に浸けて冷やし、顔を洗ってリフレッシュ。思わず20分近く休憩してしまった。

 ゴーラ沢出合からは緩やかな下り坂が大半を占める。以前登った時は枯れていた林道出合の沢に水が流れていたのは意外だった。そのか細い水は一度地面へ染み込み、下の方から湧き出ている様は、これまた自然の強さを感じさせるものだった。

 16時16分、西丹沢自然教室に到着。今にもバスが出発しそうだったので、それに先駆けバイクで発ち、道の駅”山北”で休憩。その規模からして想像してはいたが、道の駅なのに閑散としてしている。軽く何かを食べようと思ったが惹かれる物はなく、コーラを飲もうと決めていたが甘さを求めてココアを飲んだ。

 9時間に渡る約17kmのトレッキング。そして水分不足。なんとも過酷な体験だった。日帰り丹沢主稜縦走を考えているが、最低でも一泊二日の計画を立てなければならないようだ。

2009年6月13日土曜日

ひとりぼっちの軽井沢 その2

 2009年6月13日、6時に起床し帰り支度を始めた。朝7時からはラウンジにパンと飲み物が置いてあるので、これを自由に取って朝食を済ませた。
 7時20分に宿を発ち、国道18号に乗る。昨日と違い早朝ではないので、快適な涼しさである。その涼しさに気を取られ、浅間モーターロッジを通り過ぎた事に気づいた。でもまぁ廃墟はもう結構である。廃墟に行くなら数人で楽しく行きたいものだ。

 馬瀬口から県道9号に入り、ひたすら南下。道は空いてて快適に走れた。その快適さに身を任せてたら、気づいた時には青沼周辺。一駅前の臼田に用があったので、今度は流石に引き返した。
  そこにあるのは五稜郭。函館の五稜郭は唯一無二ではなく、この臼田にも五稜郭は存在する。しかし規模は小さく、作りも中途半端。敷地内には小学校があり、一望できる場所も数少ない。北側の山から一望できるらしいので向かってみたが、バイクに財布と煙草を忘れてきた事に気づいた。山のどの辺から一望できるのかも分からぬし、望遠レンズも置いてきてしまったので、撮る価値なしと龍岡五稜郭こと龍岡城を後にした。

 県道2号を南下し、海瀬で国道141号へ。道は空いており、遅い車の後ろにつかない限りは快適だ。8時55分、松原湖に着き猪名湖を見に寄った。しかし気兼ねなく停めて良い駐車場が見当たらず、早々に立ち去った。
 最高に走り易い国道141号だが、それも広瀬のワインディングを越えると絶頂を迎える。北海道に負けず劣らずの一直線。急なカーブはまるでなく、地図で見た時から楽しみにしていた。信号もほとんど無く、清里までアッと言う間に着いてしまう。
  メルヘンチックな清里駅前。しかしバイクを何処に停めて良いかが分からない。写真はバイクに跨がりながらでも撮れるが、公衆便所に寄るに寄れず、国道141号に戻りコンビニで休憩した。

 9時50分、清里を後にし林道に突入。山々を越えて甲府の昇仙峡を目指すコースだ。
 高須林道を登る際に気になったのが”森のラーメン”。林道を下る途中にあるのだが、完全に山中。営業時間は土曜の10時半から18時のみ。とても興味はあったのだが、お腹が空いていなかったので素通りした。若干営業時間前だったし。
  塩川ダムのあるみずがき湖で休憩。給食のパン屋さんとやらが車で巡回しており、これも気になったのだが、やはりお腹が空いていなかったのでパス。花の綺麗な場所だった。
 県道23号沿いの通仙峡は、少し寂しい温泉街。そこを流れる川は良いのだが、これだけの場所で雄大な滝がないのは残念だ。
  ここから先はとにかく林道。森の声を聞きながら、ひたすら木々に囲まれた道を走り続ける。
  11時50分、紅葉シーズンには混雑する昇仙峡に到着。ロープウェイに乗って展望台へ行き、そこからさらに弥三郎岳へ。展望の開けた丸い岩場の上を歩く時は、流石に恐いものがあった。
 仙娥滝を見て、13時10分に出発。まだまだ見所の多い昇仙峡。是非とも紅葉のシーズンに来たいものだが、県道7号の渋滞は想像しただけで恐ろしい。
 甲府市内で昼食を摂りたかったが、荷物はツアーバッグに纏めてしまっただけに、下手にバイクから離れられない事に気づいた。仕方なく御坂みちを越える前にコンビニで昼食を摂る。御坂みちの快適さとは裏腹に、やはり混んでいる河口湖町。山中湖周辺が混んでいなかっただけでも幸運か。
 三国峠を越え、16時12分に帰宅。1泊2日、608kmのツーリングが終わりを告げた。

ひとりぼっちの軽井沢 その1

 2009年6月12日、朝4時に起床して支度を始めた。家を出る直前、何かを背負って運転したくないと思い、替えのレンズとMacBookを置いていった。
 5時10分に家を発ち、近所のスタンドでガソリンを補充。三国峠を超えて行こうとしてたのだが、何処かで道を間違えて富士スピードウェイの方に来てしまった。走り慣れたコースを間違える始末。幸先不安である。

 篭坂峠を越える気にはならず、東富士五湖道路を使用。軽自動車用の料金設定がないので、バイクは普通車と同じ額を払わねばならない。なんとも阿呆臭いので山中湖I.C.で降り、6時20分、道の駅"富士吉田"で休憩。早朝な事もあり気温は11℃。少し厚めの装備で来たものの、それでも寒くてペースが遅れた。
  雄大な富士山を背に、下道で大月へと向かう。いつもなら中央自動車道に乗って見る事の出来ない街並みだが、予想よりは栄えていた。とはいえ長閑なものである。
大月からもそのまま国道139号を走る。冷えているせいで尿意が近い。意外と集落が点々とあり、立ちションするポイントを探すのに苦労した。
 正直なところテンションは低い。それを盛り上げてくれたのは、松姫峠付近の景色だった。
  長い道のりを経て、8時40分、奥多摩湖に到着。南湖岸の駐車場付近で、ロープウェイの駅を探した。頭上にはロープが見えるので、それを辿った先へ行く。最初は階段があったのだが、途中からはぬかるんだ急な傾斜。泥で手を汚さぬよう草木を掴んで登った先には、廃れた駅とロープウェイが待っていた。ノスタルジックというより不気味である。チキンなのであまり奥には進まず、対岸の駅へと向かった。
  県道411号からトンネルの手前で左の急傾斜を登る。途中で車両は侵入できなくなるので駐車。少し登れば右手に駅があるのだが、それに気づかず道沿いに左へ曲がった。

ギャーっ!!

 道の真ん中に座り込む老婆。何故そこなのか?何の為にそこにいるのか?とにかく驚いた。問題の駅は一応立入禁止っぽくなっていた。フェンスを越えて行く若さはない、というか見つかって怒られたくないので、外観だけ見て退散。
  日原鍾乳洞に惹かれたが、これはまたの機会と諦め、県道411号を東へ。軍畑から県道53号へ抜け、廃村白岩を目指す。それっぽい通行禁止の道があったが、時間的に冒険する余裕が無かったのでスルー。その反対側にある冠岩も予定に入れていたが、とにかく秩父市内の廃墟は全てスルー。
 国道299号を秩父に向かって走っていると目につく建物。二度目ともなると正体を知らずにはおれず、現地へ向かってみた。そこは三菱マテリアルの横瀬工場。巨大な建築物の後ろには武甲山。かなり雄々しい光景だった。
  11時15分、道の駅"ちちぶ"で休憩。すぐ裏手の秩父太平洋セメントを楽しみにしていたのだが、綺麗な更地と化していた。宿を予約していなければ、このまま帰りたいところである。

 県道82号を北上し長瀞へ。12時5分、白鳥神社に到着し、裏手の山を登った。それとなく道はあるが、かなり草木に覆われている。どうにかこうにか10分程で山頂に着くと、そこには廃墟と化した模擬天守"天神山城"が待っていた。内部はかなり廃れており、簡単に床が抜けそうなので、中には入らず退散した。
 天守を後にしてすぐ、来た道を歩いていない事に気付いた。方角は違えど歩きやすく、下には向かっていたのでそのまま進んだ。明らかに白鳥神社から離れている。そうして現れたのは、一面の花畑と廃墟だった。
  レストハウスだったのだろう。公衆便所も近くにあった。しかし、ここから先の道が見つからない。ここで私も廃れてしまうのだろうか?適当に進んだら下方に舗装された道が見えた。なるほど、花畑は駐車場であり、そこに繋がる道があるわけだ。こうして進んだ先のゲートには立入禁止の文字があった。まぁ出る時に言われても、どうしようもない。
 山の南側に出てしまったので、ゲートから徒歩10分、西側の白鳥神社に戻り、12時50分に出発した。
  県道13号を進み、目指すは藤岡。しかし途中で県道44号へ逸れてしまい、児玉に向かってしまった。
 児玉で給油している最中、国道17号を走るのがかったるく思えた。関東帝国ヒューム管、そしてカッパピアを予定していたが、そこへ行っても立入禁止を無視してゲートを越える性格ではないのは分かったので、高崎へ向かわず国道254号で吉井へ。吉井I.C.から上信越自動車道に乗った。
 14時、甘楽P.A.で一服し、横川S.A.で食事を摂った。かなり予定を変更したので、余裕がある。途中で富岡製糸場が気になったが、廃墟になっているわけではないので、いつの日か気が向いた時にでも行こうと思う。
 碓氷軽井沢I.C.へ下っていると、高岩山が魅力的だった。頂上まで行けるなら、是非とも登ってみたいものだ。後で調べたら、意外と楽に登れるらしい。

 生涯2度目の軽井沢。一度目は妻恋への通り道だったうえ、興味ゼロだったので、かなり記憶にない。そんな軽井沢は、実に軽井沢だった。広い道に素敵な街並み。さすが軽井沢。
  軽井沢は通り道に過ぎなかったのだが、時刻は15時半と余裕があったので、南口のアウトレットモールへ行った。
 今回のツーリングのモットーは「安く」である。宿代を入れても15,000円未満で収まる計算だ。旅費としては予定通りいくだろうが、旅とは関係ない出費をしてしまった。
 モールでNIKEのショップを見つけてしまい、NIKE+iPod用のシューズを購入。専用シューズを買う必要はないのに。使うか分からないドリンクホルダー兼iPodケースも。さらに勢いでウェアも新調。3万円も旅行と関係のない事に使ってしまった。
  16時50分にモールを出て、軽井沢駅北口を見た後、白糸の滝を経由して鬼押出へ。正確には、この付近の廃墟となった展望台が目当て。
 近所の博物館は閉館時刻を過ぎており閑散としていた。そこに来れば誰でも目につく建物なのに廃墟。いくつかの施設が集まっているので、それなりの来客数はあると思われる。この展望台からの眺めは素晴らしいものだろう。しかし廃墟。何故か廃墟。気兼ねなく出入り出来る状態だが、アスベストの問題で廃墟となったのならマスクの一つも欲しいもので、やはり侵入せずに退却した。
 浅間山の巨大さに圧倒されながら国道146号を南下。19時前には中軽井沢の宿”旅籠屋”に到着した。予定を変更した甲斐のある結果だ。
完全に陽が沈んでから空を眺めてみたが、期待した星空は見えなかった。避暑地なだけにかなり涼しく、バイクで夜空を見に行く気にはなれない。かなり疲れていたので、23時には眠りに就いた。

2009年6月6日土曜日

沼津アルプス北上

 2009年6月6日、朝4時20分に起床し支度を始めた。5時に家を出るつもりだったのだが、支度にもたつき家を発ったのは5時13分だった。この時期でも早朝の箱根が寒いのは承知していたので、厚手のパーカーを一枚着込んでの出発。小田原は快晴だったものの、箱根方面を見ると雲がかかっており、少しばかり不安を感じた。そしてそれは的中し、芦ノ湖が近くなるにつれ雲の中に突入し、バイクでは寒いと感じる状態だった。
 道の駅”箱根峠”に着いたのが6時。一般道を走ってきた事もあり、予定より余計に時間を喰っている。それでも一服し、霧につつまれた芦ノ湖を眺めた。
  6時35分沼津駅発のバスに乗る予定なのだが、どうにも間に合いそうにない。箱根から三島へ下る道中、三島の町と富士山が綺麗に見えたが、そこで立ち止まらず沼津駅を目指した。沼津市内に入ったものの、駅の場所がいまいち分からず路肩に停車。この時6時33分。完全にアウトである。
 停車位置から沼津駅は意外に近く、すんなり着いた。しかしバイクを停める添地駐輪場が分からない。おおよその場所は調べていたが、入り口が分からない。結果としては、沼津駅向かって左手にあるイーラの裏手に周る勢いで走れば良い。誤ってガードをくぐっては駄目である。駐輪場自体は沼津駅の西隣にあるのだが、かなり横に長いので、バイクは大きく迂回せねばならないのだ。

 駐輪場に着いたのが6時47分。次の東海バス7時20分まで何をしようかと思い、まずは8番バス停の場所を確認。すると隣の7番バス停に伊豆箱根バスが停まっており、目的地の多比を経由するものだった。
 こうして7時発の伊豆箱根バスに乗り、多比へ向かった。2時間ほどしか睡眠を取っていなかったので、とても寝たい気持ちではあったが、バス停の順番を知らないので迂闊には眠れなかった。

 多比のバス停を降りるとすぐにセブンイレブンが目についた。ここで昼食を調達し、7時35分、沼津アルプスへ向かって出発。といきたいところだが、沼津アルプスへの登り口がまるで分からない。目印があるらしいのだが、全く分からない。住民に尋ねて答えを貰っても、いまいち分からない。とりあえずヒントを頼りに入ったのが、多比のバス停からセブンイレブンを過ぎた先にあるY字路にある住宅街への細い道だ。やはり目印は見当たらなかったが、10分ほど登って沼津アルプスへの道標を発見。ここまで結構歩き回っていただけに苛立ちを覚えていたが、結果オーライである。
 安心したところで飲み物を、と思ったら、何処かで飲み物を落としたらしい。脱水症は恐ろしいが、コンビニまで戻るのも嫌なので、そのまま進む事にした。それから20分ほど登った頃であろうか、雨の後でぬかるんだ地面に脚を滑らせ、早々にズボンを激しく汚してしまった。正直言って帰りたい気分だった。なので、ここから先は箇条書きにさせて頂く。
  ちなみに、この”沼津アルプス”と呼ばれるコースは、山と山を繋ぐ道はなだらかで良いが、そのぶん各山の登り下りがかなり急斜面である。平均的にあまり高くないので、町の音がしばしば聞こえ、これはこれで良いと言うか、雑音と言うか、個人的には再び登ろうとは思えないところだ。
 8時53分 鷲頭山山頂 駿河湾が見えるが木々が遮り絶景というわけではなかったので、そのまま前進。
9時03分 小鷲頭山山頂 ここからの眺めは良かったので、飲み物が無いのに一服した。
10時14分 徳倉山山頂 相変わらず飲み物は無いが、食事を摂り一服。
10時59分 横山山頂 眺望はまるで無いので素通り。

 そして11時15分、横山を下りきると道路に出た。まだ香貫山が残っているのに気分台無しである。しかし、道路に出たなら自販機ぐらいある筈だ。そうして見ると、すぐ東側に発見。約3.5時間、汗は流せど補給の出来ない試練に終止符を打てたのだ。 香貫山登山道入り口は、これとは逆に西側へ200mほど歩いたところにある。もともと最後の香貫山を登る前に一服しようと思い、横山山頂を素通りしたので、これに飲み物が付いてきたのは嬉しい限りだ。
 香貫山は山道もあるが、基本的には舗装路が続く。20分程で山頂に着いたがなんてことはなく、展望台へと向かった。
私が沼津アルプスに求めたものは、富士山に向かって尾根を歩く姿だった。しかし富士山は雲に隠れ、そもそも沼津アルプスというコースに眺望の良い場所が少ない。特に北側は。その中で最も満足できたのが、この香貫山の展望台。要するにだ、この展望台にさえ来れば北も西も一望できて満足できるわけだ。歩きたい人は歩けば良いが、景色を望むなら香貫山だけで良い。
 香貫山から見ても富士山は雲に遮られ見れなかった。今日という日で最も景色が良かったのが、箱根から三島にバイクで下る道中というのは、なんとも皮肉なものである。この香貫山”だけ”は、再び富士山を見に訪れたい。その時は黒瀬の駐車場にバイクを停め、展望台まで歩いて終わりである。
  展望台から30分とかからず黒瀬へと出た。ここから道路沿いに西側へ行くと、甲羅本店の辺りに黒瀬のバス停がある。便も多く、沼津駅に帰るには便利だ。
 ちなみに、黒瀬から2つ目のバス停が市役所前。黒瀬の駐車場に車を停めて沼津アルプスを南下した際は、多比から市役所前までバスで行き、あとは黒瀬へバスで行くも良し歩くも良し。バス停2つなので、そう遠くはないと思う。

 沼津駅の公衆便所でスパッツを脱ぎ、駐輪場でシャツを着替えて履物もサンダルに交換。気温の変化などを考慮し、用意周到である。

 13時に添地駐輪場を発った。道路はそれなりに混んでいた様なそうでもない様な、まぁバイクには関係のない事だ。箱根への登りも渋滞と呼ぶ程のものは無かった様な・・・、まぁバイクには影響の無い程度で。再び道の駅”箱根峠”で芦ノ湖を見て一服。一般道の渋滞は目に見えているので、箱根新道に乗って回避。少し寄り道はしたものの、14時40分には自宅に着いた。

 真っ先に洗濯をし、それと並行して靴を洗いバイクの汚れを拭き取った。優先事項を済ませたら、近所の日帰り温泉へ。疲れを癒して日課の6kmランニングに備えようと思ったが、20時現在、それはちと無茶な気がした。