2008年6月14日土曜日

道了尊からの明神ヶ岳、そして彫刻の森

 2008年6月14日、朝7時前に家を出て、自転車で小田原駅へと向かう。7時24分の大雄山線で、終点の大雄山へ向かうと、ちょうど道了尊行きのバスに連絡できる。但し、トイレに寄っているほど余裕はないので、電車を降りたら迷わずバス・ターミナルへ向かわなければならない。相変わらず登山客は年配の方が多い。
  西湘地区の人間にとって、道了尊と言えば初詣の定番である。人が混み合い、延々と階段を登る、時間も夜なだけに、その程度の認識だ。しかし、改めて日中に来てみると、なんとも素晴らしい場所だった。
 曹洞宗・最乗寺、その広い敷地は、段差によってさらに味わいが深まる。山の中だけに、木々に溢れているのも魅力的だ。近場にこんなに素晴らしい寺があることを誇りに感じる。
 と書いた割には、煙草を吸いながら寺を眺めて、大きな下駄を観に行って、そそくさとハイキング・コースに向かってしまったが、我が家は浄土真宗なので曹洞宗に時間を費やしてはいられない。そもそもだ、仏教の寺なのに、天狗を祀り初詣で賑わうというのは合点がいかない。

 最乗寺の旧・大下駄のすぐ横に、明神ヶ岳へのハイキング・コースの入口がある。明神ヶ岳までは2時間。急な天然の山道で始まり、5分もしたら嫌になった。それでも、もう引き返す事は個人的に許されない。
 しばらく登ると、緩やかな登りに変わった。最初に明かしておくと、このハイキング・コースは全体的に緩やかである。とはいえ、それを知ったのは頂上に辿り着いてからの話。途中で舗装された道路が見え何故か安心してしまったが、すぐまた山道へと入り、私を苦しめてくれる。
  35分ほどで見晴小屋に着いた。その名の通り、見晴らしが良い。ひとまずここで一服し、さらに登ろうと道標を見ると、明神ヶ岳まで90分とある。時間的に遅れている・・・かなり絶望的だ。もう歩きたくない、帰りたい、しかし登るしかない。

 山を登る割にはネガティブな心の持ち主だが、見晴小屋から20分ほど登ると、道が開けて緩やかな登りが続いた。後ろを見ると足柄平野。私の良く知る人たち、普段さりげなく顔を合わせている人たちが、あの世界にいるかと思うと、とても楽しくなって来た。登るほどに小さくなる街。もはや人間などいないに等しい。
 木々に覆われず青空が見え、花が点々と咲き、蝶が舞う。秋にはススキ、冬は雪。季節を変えて、また登りたい道である。
  道中で神明水という水場があった。顔を洗って気分爽快。さらに登る私に、神の御加護がありますように。
 神明水の水場から、急な斜面が続く。しかし後ろは足柄平野。「あの世界をさらに高みから見たい」と思って登っていると、苦しむことなく緩やかな道まで登りきれた。

 最後の最後に急な斜面が待ち受けるが、それさえ越えれば山頂だ。10時、けっきょく見晴小屋からは休憩らしい休憩をとる事なく、最乗寺から1時間45分で登りきることが出来た。どの辺か忘れたが、神明水から頂上までの間に、もう1ヶ所水場があったのが救いだ。
  山頂には何もない。登頂記念のオブジェがあるくらいで、トイレも何もない。しかし、そこからの景観は素晴らしい。富士山が見え、箱根の山と宮城野の街が見え、足柄平野も見える。私は金時山よりも明神ヶ岳の方が気に入った。

 カロリーメイトを4本食べ、水分を補給し、煙草を一本。さて下山しようと思ったが、山頂の道標に従うと、宮城野方面の道はどう見ても崖だ。箱根から登ってくる人は、この険しい斜面を登ってくるのか?
 思考を変え、来た道を引き返すことにする。登って来た時は気づかなかったが、道が二手に分かれており、一方は最乗寺、もう一方は・・・文字が書かれておらず分からない。方向的に宮城野だろう。そういうわけで、その不明な道を行くことにした。

 緩やかな下りが続く帰道。低い木々に覆われ、不思議な気分だ。途中で塚原方面への道標があった。かなり時間をかけて塚原方面へ降りられるらしいが、まぁ挑む事はないだろう。
 下り始めてから20分程は良かったが、緩やかな道は最初だけで、急な斜面が続いた。これといった景色も拝めず、箱根方面から登ったら、さぞ面白くなかっただろう。
 勢いに任せて下り続けると、あとで脚に響くのは金時山で体感済みだ。途中で岩に腰掛けて一服し、さらに飽き飽きとしながら降り続け、山頂から60分で宮城野の町に出る事が出来た。

 とりあえず強羅駅を目指そうと、宮城野の住宅街を下る。随所に道標があるので、とりあえずはバスの停留所を目指した。宮城野の信号に着き左折すると、宮城野橋がある。ここには大きな地図の看板があるので、強羅の方向を確認する。見慣れた景色なだけに、ここから登る事が予想できてしまい愕然とした。
 強羅入口から彫刻の森まで1km。ここから1kmも登るのかと思うと、正直嫌になった。舗装された道を歩いても楽しい事はなく、途中でタクシーを拾おうかとも思ったが、それを我慢して登り続ける。半分ほど来たかと思ったが、残り700m。バスで箱根湯本まで降りれば良かった・・・。

 かなりネガティブな状態だったが、電車の音が聞こえ、彫刻の森が近い事を悟る。駅で電車の時刻を確認し、箱根・彫刻の森美術館へ。先月に続き、また来てしまった。
 彫刻の森へ入ると、私の前を9人組の大学生ほどの若い娘たちが進む。なんと初々しい。彼女らの放つ若さを間接的に感じられただけでも、入場料1,600円の価値があった。
数々のアートよりも、この娘たちを見続けていたいところだが、それよりも何よりも大事な事がある。とりあえずトイレだ。とりあえずウンコだ。彫刻の森へ向けて登り始めて間もなく、便意に襲われてたまらなかったのだ。
 彫刻の森とは言えども、トイレは普通である。アートな感じはまるでしない。こうして見ると、私のウンコもなかなかアート的ではないか。

 先月来たこともあり、道なりにアートを見る程度で、ウンコの後は足湯に向けてまっしぐら。アートと自然に囲まれながら足湯で疲れを癒す。この為に彫刻の森に来たのだ。
 15分ほど足湯に浸かり、ブラブラと歩きながらアートを眺めて退散。滞在時間は45分ほど。ダリのオブジェ(12,600円)を買い、箱根登山鉄道へ乗って小田原へと向かった。彫刻の森で食事を摂りたかったが、飲茶楼は混んでいて、一方はバイキング形式だった為、小田原のファーストキッチンに寄った。

 この後は、前回同様やはり英会話。しかし今回は時間的に余裕があったので、ダラダラと自転車を漕いでもレッスン開始10分前には到着した。

2008年6月7日土曜日

長野の神秘「皆神山」

 2008年6月7日、朝4時半に目覚めてしまい、3kmほどジョギングをした。これから長野まで往復する人間の行いではない。
 8時頃にTOYOTAで車を借りる。経済的な面からVitzを選ぶ。必要な時に好きな車を借りて乗る。普段車を必要としない私には、こういうスタイルが適している。
  友人を拾い、箱根を越えて、10時頃に忍野八海に到着。意外と時間がかかってしまった。過去に何度か足を運んでいる忍野八海。とはいえ、観たいのは忍野八海というより人工的に造られた中池である。ついでに湧池を観ることで、忍野八海を観に行ったと言えるようなものだ。この2つの池の透明感を観てしまっては、他の池など肩を落として終わりである。
 駐車場は適当にあった所を選んだ。時間制限無しで300円。料金は備え付けのポストに入れる。そこまで人を信用できるのか?とうぜん300円払ってきたが、この世がそれに応える人で満たされている事を、私も信じたい。

 東富士五湖道路から中央自動車道へ乗り、甲府南I.C.で降りる。I.C.のすぐ近くにある曽根丘陵公園で、前方後円墳を観る為だ。カーナビを銚子塚古墳に設定していた為、かなり見当違いの場所へ導かれてしまった。甲府I.C.を降りて国道358号線を右折したら、すぐ左手に山梨県立考古博物館があるので、カーナビに設定するなら考古博物館がお薦めだ。
  園内にある日本庭園が素晴らしく綺麗だ。丸山塚古墳にしても銚子塚古墳にしても手頃なサイズなので、かなり親近感を覚えることが出来る。古墳の横には民家が建ち並び、近所の子供が古墳の斜面で遊んでいた。とにかく曽根丘陵公園全体が綺麗なので、とても良い環境だと思う。その割に、土曜の日中だというのに人は少なかった。園内で10人も会ってない気がする。こんなに綺麗なのに、何故誰も遊びに来ないのだろうか?
 折角の前方後円墳なので、やはり鍵穴の形を眺めたいものだ。そう思い、道らしくない道を登り展望広場へと向かったが、生い茂った木々が邪魔をして、古墳が見えないどころか大した景色も観れなかった。園内MAP上には、もう一つ前方後円墳がある。その大丸山古墳を観ようとグルリと一周したつもりだったが、結局確認できなかった。
 休日に寛ぐには素晴らしい場所だと思う。しかし、時が止まっているというか、この空間自体に生気が感じられなかったのが不思議だ。

 甲府I.C.から休まずひたすら北上。13時15分、諏訪湖S.A.に到着し、休憩をとる。ここの景色は素晴らしい。一度高速を降りて諏訪湖を見に行こうかとも考えていただけに、休憩がてらに諏訪湖を拝めるのは嬉しかった。
 昼食はソースカツ丼を食べた。私は玉子で綴じたベーシックなカツ丼の方が好きだ。

 松本I.C.で降り、14時半頃、松本城近辺に到着。ガマ侍が目を惹くナワテ通り商店街は、城下町らしく店の外観が統一されていて情緒があった。同じ城下町に住む者として、羨ましい限りだ。
  黒さの目立つ国宝・松本城。規模はそれほどではないが、城のすぐ脇にお堀があるのが魅力的だ。城の内部も下手に博物館化しておらず、城を残す事に重みを置いている感じがして、これはこれで良いと思った。天守閣から外に出る事は出来ず、高みの牢獄から景色を眺める感覚は残念だ。
  長野自動車道で長野I.C.までひた走り、降りればそこは松代。まずは皆神山へと向かうのだが、ナビの指示する道が工事中で路頭に迷う。それでもなんとか皆神山に到着。”日本のピラミッド”と呼ばれる山は多々あるが、それを自称する山というのは如何なものか。
 松代大本営の一つでもある皆神山。山の内部には空洞があり、松代群発地震の際にその空洞部が潰れ、山がひしゃげたという説もある。他の山と連なるわけでもなく、難なく外周を一周できる山というのも珍しい。とにかく謎の多い山である。
 山頂に向かって車を走らせる。車一台やっと通れる程度の道で、ゴルフコースに繋がっているとはとても思えない。山頂に着くと神社があった。時刻が17時前で、天候も曇りのせいか、既に人気はない。山頂からの景色は素晴らしいの一言だ。晴天の日に来れたら最高だったろう。
  駐車場には皆神山の案内板がある。人が積み上げ造ったピラミッドではなく、古代の神々が”初歩的な”重力制御技巧により、宇宙空間への航行基地として造られたものらしい。こんな事を公に書いてしまっているところが素晴らしいではないか。オカルト好きな人間は、是非とも訪れて欲しい場所である。むしろ義務である。

 続いて象山地下壕へ向かったのだが、無料の市営駐車場が閉まっていたため、申し訳なく象山神社の駐車場に停車した。友人が参拝したので良いだろう。ちなみに、象山神社そのものも悪くはない。
 象山地下壕へと歩く道中、15時半で入壕は終了し、16時には閉壕なのを知った。遠い道のりを経て、この仕打ちは厳しい。せめて入口だけでも見たいので、歩を進める事にした。
 確かに閉壕している。すると、資料館の係員の方だろうか、もう帰宅しようとしている私たちに声を掛けてきてくれた。入壕はさせられないが、資料館なら開けても良いと。しかしそれでは意味がない。とはいえ、鎖を越えてもう少し間近で入口を見る事は許してくれたので、お言葉に甘えた。とても嬉しい気遣いではないか。後々考えると、お礼を言ってなかったことが悔やまれる。こんな誰も見ないホームページ上に書いても言葉が届く筈もないが、あえて書かせて頂こう。「有り難うございました」と。また行く機会があれば、この気持ちを忘れないようにしなければならない。

 お次は松代城跡。既に18時前なので、中に入る事はできない。外から見れば充分な気もしたので、これはこれで満足出来た。
 北上して善光寺へ向かう。この近辺で長野らしい食べ物を食べようと思ったが、店の営業っぷりが潔い。全ての飲食店が閉まっており、もはや寺を見る意外に無かった。
長野の観光地と言ったら・・・善光寺?という想いだけで行った為、その歴史やら何やらは知らない。また出直したい気持ちはあるので、今回は「スケールがデカかった」という感想で留めておこう。
 ここまでの道中で目に入った”戸隠神告げ温泉”という看板が無性に気になったので、是非ともまた来たい土地だ。ホームページを見る限り、普通の日帰り温泉かと思われるが、浸かれば何か降りてくるものと信じたい。

 “信州”と”そば”、これをキーワードに夕飯と摂りたいと思い、信州そば蔵に立ち寄った。そば茶の香りが気に入ったので、珍しく土産を購入。
 19時40分にそば蔵を経ち、梓川S.A.・諏訪湖S.A.・双葉S.A.で小休止をしながら、4時間20分後、地元に帰ってくる事が出来た。日本は広い・・・

2008年6月1日日曜日

なんとなくTOKYO

 2008年6月1日、朝7時に目が覚め、外を見れば快晴。こんな日に家に居るのは惜しいので、外へ出ることにした。8時48分の電車で国府津を発ち、まずは秋葉原へ。尿意を我慢出来ず品川で降り、そこから京浜東北線で秋葉原へと向かった。

 しかし、そこには歩行者天国が無い。あまりの無法地帯ぶりに、歩行者天国は廃止になったのか?目的にしていた「ガメラ」の食玩もリバティ2件周っただけでは見つけることが出来ず、秋葉原に来た意味が無くなってしまった。
 朝食を食べていなかったので空腹だ。何もせずに帰るのも癪なので、武装商店と同じビルにある若狭屋で海鮮丼を食べた。ウニ・いくら・サーモンの普通盛りで1,250円。汁物は付かない。特別美味いわけでもなく、空腹が満たされるわけでもなく、まぁ調理に時間がかからないのが、せめてもの良い点か。
秋葉原から総武線〜中央線に乗り中野へ。生涯2度目か3度目か?とにかく数年ぶりの中野ブロードウェイ。中野駅北口を出て右手にある中野サンロードを抜けると、そのまま中野ブロードウェイに直結する。

 古くから”まんだらけ”があることもあり、濃い店が密集している。通販で利用した店が実在している点も、愛用者には嬉しい限りだ。
 中には12時開店の店もあったが、他の店で目的は果たせた。買う物が決まっているだけあり、目的を果たしたら12時開店の店などどうでも良く、早々に立ち去った。

 高円寺にあるNAKAIYA。この店はとにかくベルボトムが豊富にあるらしく、ベルボ歴15年の私としては、いつか来たい店だった。
 店一軒がベルボで埋め尽くされているわけではない。とはいえベルボの種類は豊富である。既にベルボを4本持っている身としては、ただ来たいという想いで来てしまった為に、特に欲しい物はない。折角なのでフェイクレザーのベルボを買った。冬まで履く事はないだろう。
 ベルボが豊富な点を除けば、クセのない服屋さんである。雰囲気も良い。高円寺などという遠い所にさえ無ければ、愛用していたであろう店だった。

 高円寺から総武線に乗って新宿へ。新宿からは山手線で渋谷へ。渋谷に来るのも数年ぶりだ。
 アップルストア渋谷を探してハンズ方面に向かうが、発見出来ず。やむなくベルボトム専門店DEEDEEに向かう。ハンズ前の細い路地を入った所にあり、発見に手間取った。
  ベルボ好きにはたまらないであろうラインナップのDEEDEE。その裾の広がり方は並ではない。それに加えて色々とカスタムできるらしく、自分だけのベルボが作れるわけだ。値段は少々高めだが、自分のベルボを手に出来るならば悪くはない。
 3万は出すつもりだったが、けっきょく何も買わずに帰った。タイミングが悪かったのか、店に一人いる従業員から営業する気が感じられなかった。私の質問に対しても素っ気ない回答だったので、再度質問する気も起きず、そもそもレースアップしたベルボなんて買ったら、洗濯する時とか面倒くさいだけだ。店には来たわけだし、もう興味は無くなった。

 再びアップルストア渋谷を探す。携帯で地図を調べて、ようやく到着。既に通った記憶があり、単に見落としていただけのようだ。
 無事にアップルストアへの巡礼も果たした事だし、渋谷にはもう用が無い。長い目で見て、用が無い。

 渋谷から銀座線に乗って末広町へ。懲りずに秋葉原である。そして、そこには歩行者天国があった。12時頃からなのだろうか?
 転々とコスプレをした方々がいる。それを撮る輩はいるが、ローアングラーと化していない。何をするわけでもなく、秋葉原駅へと直行。最後の頼みは駅前だ。
 いるわいるわ、ビラを配るメイドがいるわ。その周りには、大きなレンズを付けたカメラを持つ人がウヨウヨいるわ。さらに警官が2人いるわ。まさに蛇に睨まれた蛙である。警官がいなくなれば奴らは一気にローアングラーと化すと思い、カレーパンを食べながら私も待機。カメラを持って待機している以上、端から見れば私も奴らと同類だ。違う点と言えば、そこまでの情熱を持ち合わせていない点か。結局10分ほどで諦め、15時33分の快速アクティー(グリーン車)で東京を後にした。