2008年7月20日日曜日

秋田・盛岡、目当てはナマハゲ

 2008年7月19日、朝5時の東海道線に乗り羽田空港へ向かう。次の電車にしたかったが、それだと際どく手続きが間に合わないのだ。
 7時45分の飛行機で羽田を飛び立つ。若干フライト時刻が遅れた為、秋田駅までのバスが心配になったが、飛行機の到着時刻に合わせているだけあって、バスの時刻も遅らせたようだ。そうでないと乗る客もいないだろうし、当然と言えば当然か。

 10時前には秋田駅西口に到着。これと言って目につくものはないが、綺麗な街である。
 宿泊先のドーミーイン秋田で手続きだけ済ませ、トヨタレンタカー秋田駅前支店へと向かい車を借りる。電車とバスの旅は好きだが、そこまで時間的に余裕はない。

 早速男鹿半島へと車を走らす。すると素敵なビルが見えてきた。その名はセリオン。横には巨大な温室らしき建物もあり、2つ合わせてかなり素敵な感じだ。是非ともここから秋田市内を一望したいので、営業時間だけチェックして立ち去った。
  ナビに従いひたすら車を走らせる。随所に風車が見え、その周りは木々が立ち並び、とても絵になる光景だ。国道沿いを走っていると巨大なナマハゲ像が2体現れた。男鹿総合観光案内所のナマハゲ像である。かなりデカイ。本気でデカイ。この大きさは生で見ないと伝わらない。この先にもナマハゲ像は見られるが、最初がこれだと他のが霞んで見えてしまう。

 ガラガラの道路をまた進む。秋田ナンバーはどいつもこいつものんびりだ。それが秋田県民の性質なのか、その隙を狙う警察が多いのか、私も調子に乗らないようにはしたが、いささか遅すぎる。
  途中で男鹿駅に立ち寄りつつも、12時頃、入道崎に到着。早速空腹を満たすため、海陽という食堂へ向かう。一人前2,000円の石焼鍋定食と一皿1,000円のウニ丼。親に内緒でこんな良い物を食べて申し訳ないが、私は幸福を感じた。とても心残りなのが、食べ残してしまった事だ。まだ旅は始まったばかりなので、腹八分で収めなければなければならない。しかも、この次には海底透視船が待っている。そう考えると残さざるを得なかった。海陽の方々、申し訳ない。
  入道崎から海底透視船というのが出ている。その乗船場へ向かったところ、崖に出た。情景を優先したのか、安全策はまるで取られていない。ここから何体のダミー人形が突き落とされたのだろうか?ドラマに使われているのではないかと思える程、絵になる崖である。
 残念ながら、海底透視船は海が濁っている為に運行していなかった。どんなに遠くから客が来ていようと海が透き通るわけでもない。この判断は正しいものであると感じ、すんなり引き返した。
 もう少し入道崎を歩いてみた。眼前に広がる日本海、物寂しげな情景、悠久と浪漫を感じさせてくれる。美味しい物を食べた後だし、ここで死んでも悔いは無い。
  男鹿水族館GAOに向けたナビを無視して、八望台へと向かう。男鹿半島を一望できるのかと思い行ったのだが、そこから見えたのは予想を遥かに越えた光景だった。うっそうとした森林の中にある二ノ目潟、その先にある日本海、ここから夕日を眺めたら、やはり死んでも悔いは無いだろう。

 ここもやはりガラ空きで、かなり経営が心配になった。帰ろうとした時にツアーバスが通ったが、速度を落としただけで停車はしない。この光景を堪能できないとは、何とも可哀想な客であろうか。やはり旅は個人プランに限る。

 14時10分ぐらいだろうか、男鹿水族館に着いた。ここから出ている遊覧船の最終出港時刻は15時。水族館に入って間に合わなくなるのも嫌なので、しばらく外で時間を潰した。
 何をどうしたらこうなるのか、男鹿の海岸はかなり鋭い岩場である。その一つ一つが信じられぬ切り口で、とても自然が創り出したとは思えない。

 遊覧船の所要時間は50分。水族館と合わせれば、料金は2,000円で済む。奇形な岩が立ち並び、山からダイレクトに海へと落ちる白糸の滝も、これまた不思議な光景だ。折り返し地点は孔雀の窟。この海岸には随所に穴が開いている。その一つに軽く侵入して、あとは帰るだけだ。値段的にも時間的にも、ここまで来たら経験しない手はないだろう。

 男鹿水族館は予想以上に綺麗で見所があった。こんな東北の片隅にあるのに、立派な水族館である。

 南下してゴジラ岩を見に潮瀬崎へと向かう。その道中、廃墟と化したドライブインがあった。三連休の初日で休業という事もあるまいて、これが男鹿の現実か。もっと男鹿は知られなければならない。
  潮瀬崎周辺にも巨大なナマハゲ像がある。これもまた凄い迫力だ。男鹿総合観光案内所のナマハゲ像もそうだが、夜にはライトアップされるらしい。昼までも恐ろしいこの顔がライトアップされては、泣く子は続出、ナマハゲも大漁御礼である。
  潮瀬崎も、これまた不可思議な岩場である。自然のアートが立ち並び、その中に何気にゴジラ岩がある。ゴジラ岩など一部にすぎず、この海岸全てがアートである。
 ゴジラ岩に登ろうとする高校生ぐらいの女子が2人現れた。見るからに登るのは困難だが、登れても降りられるのだろうか。というか、私が見たいのは彼女らが登れるか否かではなく、スカートの中が見えるかどうかである。
 気持ちは分からなくないが、観光名所の扱いが分かっていない。私は撮り終えたから良いとはいえ、写真を撮りたい他の観光客の邪魔である。こういう輩が平気で国宝に落書きをしてしまうのだろう。

 かなり雲が出てきたので、夕日を見るのは諦めて秋田市内へ足を向けた。行きがけに気になった”どんどん”。ネットカフェやビリヤードなどがある総合アミューズメントらしいが、立地場所が悪かったのか、既に廃墟と化している。アスファルトの間からは草が生え、いよいよもって秋田の行く末を不安にさせてくれる。

 セリオンに着くと、やけに騒がしかった。どうやら、みちのくプロレスの興行中らしい。ちらりと試合が見えたりして得した気分だが、五月蝿いイメージの方が強かった。
 展望台へは無料で登れる。地上100mにある展望台からは秋田市内が一望でき、丁度良い高さである。日没時刻は19時5分。夜景の為に暗くなるのを待ちたかったが、20時には車を返したかったので諦めた。

 夕飯は津ねや。きりたんぽ鍋、カレイの煮物、霜降りの牛刺し、どれをとっても美味しい。店員の方々も良い人達で、旅行者にはたまらない店である。こういう時、酒を飲めない自分が惜しくなる。

 2008年7月20日、朝5時半に起き、サウナを浴びる。ドーミーイン秋田の各部屋は(少なくともシングルは)、バスなしシャワーのみとかなり割り切っている。折角大浴場があるのだ、部屋にはシャワーがあれば充分である。
  サウナを浴びたら千秋公園を散歩。ここは久保田城の跡地である。ラジオ体操をやる人たち、散歩する人たち、誰もが年齢は高めである。早朝のこの気持ちよさが分かるのは、歳をとった証拠か。だが、それも悪くはない。
  秋田駅西口からバスに乗って、大森山動物園へと向かった。所有時間約40分、一眠りできる距離だ。
 9時の開園直後に来たせいか、寂しいぐらいに空いている。園内は全てにおいてユルい感じだ。良い意味なのか悪い意味なのか自分でも分からないが、いろいろユルさを感じる。子供連れで来るには、このユルさが丁度良いと思える。動物との距離が近いし、山の中にあるだけあって、自然には事欠かない。1時間程ユルさを堪能し、秋田駅へと帰還した。

 新幹線の時刻まで2時間程あったが、どうにも駅前では時間が潰せない。どの都市でもそうだが、駅前なんて普通なものだ。普通の事なら荷物を増やすより地元で済ませば良いことなので、とにかく時間を持て余してしまった。

 流線型と配色が美しい秋田新幹線こまちに乗って、盛岡へ。新幹線がローカルの線と同じ高さのホームに並ぶのは、少し不思議な感じだった。

 14時39分、盛岡駅に到着し、東口駅前通りのHOT JaJaにてじゃじゃ麺を食べた。なんか味噌を食べてる感じだ。チャーハンセット大盛りにしたせいで、最後のチータンタンも少ししか食べれなかった。前日の料理が良すぎたせいというわけでもなく、単に私の好みではなかっただけだ。進んで食べる事はもうないな。

 盛岡駅からは循環バス”でんでんむし”が出ている。料金は一律100円と分かり易い。これに乗って目指すは岩手銀行 中ノ橋支店。立地が少し奥のせいで存在が薄めな、盛岡信用金庫本店。この2つのハイカラな建物を見れば、盛岡は8割方満足できる。
  盛岡城跡の本丸へ行くと、人を小馬鹿にするように、彫像のない台座があった。戦時の資源不足を補う為に失われたらしく、その点が分かれば台座のみというのも味わい深いものだ。
 再び循環バスに乗り盛岡駅へと戻る。丁度この頃から夕立が降り始め、かなり激しい一時的な雨と化した。新幹線まで1時間。タイミング的には良かった。
 東京駅で東海道線に乗り換え、地元へと帰る。新幹線に乗っている時に尿意を覚えたので、その時済ませとけば良かったものの、東京駅での乗り換え時間も少なく、東海道線に乗り込んでしまった。
車内も空いてきた頃、グリーン車間のトイレへと向かうが、その通路にはウンコがあった。これでは前進するのも躊躇ってしまう。この頃にはお腹が空くだろうと思い、盛岡駅で駅弁を買ってグリーン車で食べながら帰る事も想定していたが、東京駅でお腹が空いていなかった私は幸運と言えよう。駅弁を食べている最中に横でウンコをされては、何の為にグリーン車に乗ったのか分からなくなる。
 流石に我慢するのも辛くなってきて、ウンコ越えを決意する。ウンコがあるなら私の尿を垂れ流しても良いかとは思ったが、キチンとトイレに向かった。しかし、そこで私の浅はかさに気づいた。ウンコの行くべき場所はトイレである。それほど乱れてはいなかったものの、あのウンコに先回りされていたと思うと、便器を使う気になれなかった。
 結局、電車を降りてから用を足した。自宅まで15分の距離を歩く。盛岡駅以来の煙草が美味い。煙草を吸うとウンコがしたくなる。まだ家までの距離はある。今度は私の出番か?と不安になったが、無事に帰宅してウンコをした。

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