2008年7月5日土曜日

渓流を行く畦ガ丸

 2008年7月5日、朝5時半に家を出て、スクーターで西丹沢自然教室へ向かう。新松田駅からバスを使うのも手なのだが、それによって開始時刻を遅くするのは好ましくないので、90ccのスクーターで遥々行った。
  ふと三保ダムを見ると、放水していた。これはこれで見る機会は少ないので、一服しながら眺める。早朝の丹沢は心地よかった。長袖一枚かつ二輪では、少し寒いほどだ。
 “武田信玄の隠し湯”と言われる中川温泉を通り過ぎ、西丹沢自然教室に着いたのは、自宅から1時間程。道中に買ったおにぎりを2つ食べ、一服して、トイレに行き、準備万端。
 6時50分、西丹沢自然教室から中川川にかかる鉄橋を渡り、畦ガ丸へと登り始めた。
  しばらくは西沢沿いに登って行く。川沿いを歩くだけに、傾斜はかなり緩やかだ。いつでも顔を洗えるが、顔を洗うほど汗をかくようなコースでもない。木で作られた仮橋、随所に見られる人工的な滝、水の流れを見ているだけで、それは楽しいものである。道標も多く設置してあるので、迷うこともないだろう。
 途中で案内板が2つに分かれていた。畦ガ丸と下棚。よく分からないので畦ガ丸へと向かったが、これは失敗だった。下棚方面へ5分ほど歩けば、そこには落差約30mの下棚の滝が待っているのだ。”下棚の滝”と書いてくれれば、寄ったものを・・・。
 しかし本棚は見逃さなかった。一時コースを外れ、本棚へと向かう。それまでは歩き易いコースだったのに、本棚へ向かう道はイマイチ歩くべき道が分からない。仮橋を渡った先に案内板があった為、そのまま本棚方面へと歩いたのだが、ここは仮橋を渡る前に本棚へと向かった方が歩き易い。
 片道5分程で本棚の滝に到着する。西丹沢自然教室からだと40分程だ。本棚の滝とカラ滝、2本の滝が並んで落ちる様は素晴らしいものだ。疲れてはいなかったが、これを眺めながら一服した。
  本コースに再び川沿いに上がる。なんとなく道と思えるところを選んで歩いているのだが、そうしていたらヤケに急な坂を登っていた。どう考えても人が歩いた形跡がない。私は何を感じてこのコースを選んだのか?ともあれ、これがショートカットになるのなら悪くない。そう思い、少し登った場所を歩き続けるが、下を見ると道標があった。やはり間違いか。「馬鹿は高い所が好き」というが、まさに私がその”馬鹿”だ。

 川沿いのコースが終わり、いよいよ本格的な山道へ突入。特に楽しい事はなく、ひたすら汗を流して登る。雨の後のせいか、ガイドブックには”涸れ沢”と書いてあった場所に水が流れていた。ここで顔を洗い階段を登ると、何かが落ちる音がした。音的に大きめの木の枝でも落ちたのかと思いきや、私の飲み物だった。川の中へ落ちたものの、幸い取りに行ける範囲だ。少しとはいえ引き返すのは悔しいが、ここから先を飲み物なしで登る自信はなかった。

 畦ガ丸まで残り2.8kmの案内板、善六のタワ手前で少し展望が開ける。そこから見えるのは青々とした山・・・それだけだ。8時半、善六のタワに到着。一息ついて、再び木々に囲まれた山道を登る。ここから一本道なだけに案内板が少ない。何度も立ち止まり、たまに休憩を摂りつつも9時には畦ガ丸山頂に着いた。善六のタワから30分。デジカメの時計表示を疑ったが、どうやら事実らしい。かなり頑張ってしまったようだ。
  ここで得るものは何も無い。素晴らしい景観は、どう考えても拝めない。蠅などの気分を害する虫が飛んでいるだけなので、食事を摂るのにも向いていない。私の食事は西丹沢教室で食べたのが全てだったので、一服だけして下山を開始した。

 畦ガ丸山頂から100m程の場所に、畦ガ丸避難小屋がある。少し中を見てみたが、その暗さは不気味であった。余程の状況下に置かれない限り、好んで使おうとは思えない。ここからモノクロ沢ノ頭へと道が分岐するが、そんな方へ行ったら、いつ下界へ戻れるか分かったものではないし、スクーターを取りに帰るのも至難の業だろう。なので、大人しく大滝橋へのコースを歩く。

 足下に気を配る為、下を向いて歩き続ける下り。そんな下りは退屈なだけなので、iPodを取り出す。これまでにすれ違った人間はいない程、人気がない為、軽く歌いながら下山した。
 登りもそうだったが、下りも良い間隔でベンチが設置してある。予想より早いペースなので、無理せずベンチ毎に休憩をした。
 ステタロー沢まで降りると、しばらく川沿いを歩けて心地よい。10時15分、一軒家避難小屋に到着。大滝橋まではまだ3kmほどある。
  途中で再び山道に入ったりもするが、基本的には川沿いを歩く。折角なので川の水に足を浸けたいと思った。石に腰掛け、足を川に浸ける。くぅ〜、しびれる。いや、ホントしびれる。こんな冷たい水に長い間足を浸けてはいられない。とっとと先に進むとしよう。そうして靴を履き直していたら、何かが飛んで行った。靴ひもを留めるフックである。どうやらフックの留め具が外れたらしい。フックは見つけたものの、留め具が見当たらない。その間に一人に抜かされる。川沿いで留め具を探す私は、彼から見れば、さぞ異様な光景だったろう。
 川の水は冷たすぎるわ、富士山登山へ備えた靴慣らしの為のハイキングで靴を壊すわで、かなり気分は最悪だ。11時15分、無事に大滝橋へ着きました、と。
大滝橋のバス停に、次のバスが来るのは11時38分。23分もジッとしているのは何なので、西丹沢教室へ向かって歩いた。しかし、気持ち的にハイキングは終わっているので、もう歩きたくはない。ベンチの無い和田のバス停で、路肩に座る。大滝橋といい和田といい、下り斜線にしかバス停が無いため、反対車線とはいえバス停の前で休んでいた。
 11時40分頃、バスの音が聞こえたので立ち上がる。あ、あれーっ!?バスは私を無視して通り過ぎていった。次のバスは1時間後、西丹沢自然教室まで歩きたくはない。箒杉のバス停まで歩きながら、富士急バスへ電話する。箒杉近辺ならバスがUターン出来なくもないので、ここでバスが引き返すのを待っていた。路線バスを呼び戻すなど、私は何様のつもりだろうか。片側にしかないバス停、上り車線で待たなかった私、お互い言い分はあるのだが、富士急バスの対応が良かった為、これはこれで旅の良い思い出となった。
 西丹沢教室からスクーターを走らせ、町立中川温泉ぶなの湯へと向かう。2時間700円という料金が安いのか高いのか分からないが、丹沢で温泉というだけでも払う価値はある。温泉に浸かった後は休憩所へ。しかし休憩所内は禁煙だった。軽く寝転がるものの、やはり煙草が吸えないのは寂しい。1階で灰皿を発見し、すぐ横のソファーに座る。目の前には足用のマッサージ器がある。5分で100円と、煙草を吸いながら使うにも丁度良い。
ハイキングの後、温泉に浸かり、ソファーに座りながら煙草を吸って足をマッサージ。これでも33歳かと自分を疑ったが、ごくごく自然な流れではないだろうか?

 帰り道、カツ丼を食べて自宅へ。朝が早かったせいか、夕方18時には寝てしまった。

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