2008年9月23日火曜日

豪雨の中部ツーリング その2

 9月21日、朝5時40分に目覚めた。金沢城公園の開園時刻が7時なので、身支度を整え精算を済ませた。しかし、やけに料金が高い。店員に告げると、どうやら他の人をパック料金にしてしまったらしい。それでも私が9時間パックにしていたのは、受付用紙みたいので明らかではないか。対処方法が分からないらしかったが、とりあえず私に金をよこせ。後は店の問題だろう。受付時の店員も知能指数が低そうだった上、来ている客も頭悪そうなのが多かった。私にはこういう下品な空間は合わない。これなら車中泊とか野宿の方が全然マシだ。と書きつつも、旅先でネットが使えて充電も出来る事は、非常に助かった。

 外に出ると雨だった。おかしい。2日目に雨が降るのは太平洋側だけの筈だったから、先に北を攻めるコースにしたのに。仕方なく雨具を装備し、6時20分に出発。金沢城公園付近の有料駐車場に車の如くバイクを停め、徒歩で向かうが入場口が分からない。南東の入り口である石川門口は、兼六園側から道路を越えて行くのだった。
 園内を見渡す限り石川門口が最も見栄えが良さそうなので、アッと言う間に退散。兼六園に至っては一歩も足を踏み入れていない。北海道の旭川並に都会だった金沢。こちとら雨の中カッパを着て歩いている状態なので、またの機会に金沢は味わうとしよう。
  金沢西ICから北陸自動車道に乗ると、当然の事ながら右手には日本海がチラチラと見える。それに感動する以上に、雨の中の高速運転がかなり応える。8時10分、安宅PAで休憩を取った。尼御前SAからは先が長いので、再び休憩を取った。加賀を越え福井県に入れば天気が変わると思っていたが、雨は一向に止まず、8時50分、雨の降る越前丸岡城に到着。

  小ぶりながらも美しい形をした越前丸岡城。入場券売り場は城の少し下にあり、そこを抜けなければ城の姿をを目にするのは難しかった。濡れたカッパを着ている以上、入場する気は毛頭ない。しかし城の姿だけは見たい。潔く300円を払い、僅か30秒程の道を歩いて写真を撮り、颯爽と立ち去った。


 国道8号線から横に反れて福井城跡を目指すものの、自分の位置が分からない。そろそろ福井大仏の筈と思いiPhoneとツーリングマップルを照らし合わせると、確実に近かった。ふと見上げると、私の今いる交差点の名が「大仏前」。「灯台下暗し」とはこの事か!暗いのは下より上だったが。
 福井城跡も既に通り過ぎていた。片側だけ並木の道があったが、あれがまさかお堀とは気づかなんだ。道を一本奥に行くと、確かにそこにはお堀があった。石垣の上にあるのは城ではなく現代的な県庁。福井県庁も大した事をしたものだが、これはこれで見栄えが良い気がしたので、個人的には好きである。
  福井ICから北陸自動車道に乗り、10時40分、北鯖江PAで一服だけした。11時15分には杉津PAで一服。敦賀市を目前にして、遂に雨から開放された。
 かの信長・秀吉・家康が一同に会したという金ヶ崎城跡。とはいえ、城跡と名付けられた部分の何処に城があったのか想像もつかない。それらしい城跡を求めて山中を歩くが、結局見当たらず断念した。ちなみに、ここから見る景色は素晴らしく、敦賀港の美しさが良く分かる。
  港沿いを西へ向かって間もなく、急な登り道があった。どうにも嫌な予感がしたので減速したが、この橋はアーチ状になっており、手前がスピードを出しやすい道なだけに、気づいた時には車が飛んでいてもおかしくはない。いや、真剣に。
 松なぞに興味はないが、一応、気比の松原を見に行った。松原というだけあって、松ばかりである。
 国道152号をひた走り、どうにかこうにか三方五湖に到着。本来は電車で来るつもりだった敦賀だが、この三方五湖を見る為にバイクを出動させたのだ。152号を走っている時から先の雲行きが怪しい事は懸念していたが、久々子湖の畔で雨がパラパラと降り出し始めた。それでもレインボーラインの入り口まで来たが、三方五湖を十二分に楽しむには、さらにケーブルカーに乗る必要がありそうだ。天気は悪いは、時間的にも余裕が無いわ。この旅の最大の目的ではあるが、またの機会という事で、雨から逃げるように敦賀へと引き返した。
 その決断も手遅れで、激しく雨の攻撃を喰らう。金ヶ崎城跡の駐車場で、カバン類と靴のカバーは外してしまった。敦賀の天気を覚えているだけに、守る事より逃げる事を優先してしまう。敦賀ICから北陸自動車道に乗った後も、雨の攻撃は軽いながらも続いた。「滋賀県に入れば・・・」と甘い期待を寄せていたが、結局止んだのは賤ヶ岳SA。「雨の中でPAに寄っても意味が無い」という理由で刀根PAに寄らなかった事もあり、かなり疲れた。

 長浜ICで降りて長浜城豊公園へ。古い街並みがあるらしく、それを見たような見てないような・・・ともあれ、14時30分に長浜城豊公園に到着。白さが際立ち美しい長浜城、綺麗に整備された豊公園、目と鼻の先には琵琶湖。素晴らしい場所である。とはいえ、今日のノルマは陽が落ちるまでに彦根城〜岐阜城〜犬山城〜小牧城〜清洲城と周る事。もはや無理なのは分かるが、結果が出るより先に諦めたら、そこで全てが終わってしまう。
 一服して長浜城豊公園を発とうと思ったが、大粒の雨を感じたので煙草は断念。急いで彦根へと向かうが、これが逆に仇となったのかもしれない。雨は土砂降り、雷は瞬き、道路は渋滞。そして雨具はカッパのみ。琵琶湖沿いを走る"さざなみ街道"は、私にとっては地獄だった。どうにか彦根に着いたものの被害は甚大。ようやく完全装備にしたが、カバンの撥水機能も若干破られたようだ。
土砂降りの中、それでも予定を諦めない私。彦根城の駐車場にバイクを停め、せめて外観だけでも写真を撮ろうと思ったが、敷地内に入ることそのものに金が必要だった。傘は無いのでヘルメットとカッパを装備した私には、これ以上進む勇気は無い。二の丸の入り口だけを写真に収め、「せめて岐阜城だけは片付けよう」と思いながら彦根ICを通った。

 待ち受けていたのは更なる地獄。鬼畜の様な土砂降りの名神高速道路。長浜までの間でカッパは臨界点に達していたのに、遂には雨具を抜けて浸透してきた。死ぬ思いで伊吹PAに到着し、行く先の天気をチェックすると愕然とした。もはや目指すは岡崎だ。元々は「彦根〜敦賀」「静岡〜愛知〜岐阜」をそれぞれ電車で巡る1泊2日の計画だったのだ。だからこれらの計画をいずれ実行すれば良い。

 とうに走行距離は200kmを越えており、本来なら彦根でガソリンを補充する予定だったが、機会を逃して名神高速道路に乗ってしまった。とはいえ、昨日の燃費を考えると、今日は高速走行が多いだけに、養老SAまでは余裕な筈だ。養老SAまで3kmを過ぎた頃、バイクは勢いを無くし、遂には停止した。この土砂降りの中、ガス欠である。少し立ち往生はしたものの、予備タンクのお陰で養老SAには辿り着いた。走行距離315kmに対し、補充したガソリンは12リットル。改めて計算すると、無くなるべくして無くなった感じかな。
 養老SAで真っ先にGSへ向かってしまった為、休まず地獄の名神へと戻った。但し、財布の中を整頓する数分間、屋根のある場所に居座らせてくれたGSの従業員には、とても感謝しております。
 大垣もやはり土砂降り。いや、本降り程度か。どうにか鬼畜な雲は抜かしたようだ。と思いきや、岐阜羽島IC付近で、前もロクに見えない様な豪雨に襲われた。愛知県に入ると雨も小粒になっており、17時05分、尾張一宮PAに到着。温かい缶コーヒーを飲みながら一服していると、SA/PAに関するアンケートの回答を問われた。いやいやいや、貴方が知る筈もないが、私は彦根から地獄を味わってきたのだよ。そういうのは"ずぶ濡れのカッパ男"ではなく、軽装備のドライバー達に尋ねろよ。気を悪くして尾張一宮PAを発とうとすると、大粒の雨が当たる音がした。追いつかれたのか!?すぐに追い抜かし、小牧JCTで東名高速道路へ。ようやく聞き慣れた道路に入れて安心した。
 大雨洪水注意報の名古屋市は、雨も小降りで快適だった。17時50分、かなり小雨の東郷PAでノンビリ休憩。と言っても店内には入らず。今日はカッパを常時着用と決めたと同時に、建物内には一切入らない事を決めていたのだ。だから食事も一切摂っていない。東郷PAでもアンケートの協力を頼まれた。この時には気分が良かったので回答。お礼にウェットティシューを貰って大喜び。では出発とエンジンをかけた瞬間、また大粒の雨が降り出してきた(すぐに抜けたけど)。
 東郷PAを発って間もなく、完全に陽が落ちたので私の走行速度も70km/hに落ちた。弧を描いた無数の道が輝く豊田JCTの美しさに惹かれ、路肩にバイクを停めたくなったものの、先のガス欠の時とは状況が違うのだ、そのような非常識な事はせずに先へと進んだ。岡崎ICで降り、18時40分、東岡崎駅付近の"ホテルグリーンリッチ徳川園"に到着。本日の宿である。

 "徳川園"と名乗りつつも、個人の趣味が強く反映された置物が多々置いてある。まるで調和の取れていない空間ではあるが、これはこれで面白いから良し。無線LANも有線LANも使えるし、ユニットバスも付いているいるから良し(ウォッシュレットが無いのは残念だが)。
 まず干すべき物を干しながら、湯を溜める。風呂で疲れを癒したら、洗うべき物をホテル1Fのコインランドリーに持っていく(たぶん業務で使っているのを開放しているだけだと思う)。洗濯の合間に、(たぶん)近場の中華&焼肉の店に出前を頼む。予想より早く、電話してから15分で来てくれた。届けに来てくれたのは、店主と思われる中年の方。明らかに街の飲食店な臭いをかもし出している。では問題の味だ。
 まずはチャーハン。塩と胡椒の加減は良い。玉子の焼き具合など求めはしない。ただグチョグチョだった。とうぜん使ったのは炊いてある飯だろう。水分が全く飛んでおらずグッチョリしている。それに加えて油も飛んでいない。15分で届いただけの事はある。正直なところ、「これ料理?」と言いたい。しかし、これが旅の味である。火の通りが弱いチャーハンは、猫舌の私には丁度良い熱さだった。
 注文したのがもう一つ、それは野菜スープ。とにかく熱い。信じられないほど熱い。とてもチャーハンと同時進行は出来なかった。チャーハンを食べ終えた頃、洗濯終了10分前となり、野菜スープはそのままにして部屋を出た。洗濯物を乾燥機に投げ込んで部屋に戻ると、スープはどうにか食せる熱さになっていた。常に火を通してあるスープに、野菜を炒めて投げ込んだのだろう。かなり油が浮いている。チャーハンといいスープといい、かなりコレステロールが高そうだ。
 本日最初で最後の食事という事もあり、キチンと平らげた。味に五月蝿いわけではないし。悪い点ばかり挙げたが、これぞ"旅の味"だと思う。"お届けガスト"という手段も用意されていたが、中華を選んで本当に良かった。

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