2008年9月13日土曜日

秩父の先には群馬があった

 2008年9月13日、朝4時に起床した。ようやく眠れたのが3時頃だと思うので、1時間程しか寝ていない。それでも支度を整え、4時50分に家を発った。
 地元でガソリンを満タンにし、小田原厚木道路を使って厚木まで抜けた。国道246号から国道129号へ入って間もなく、一度目の休憩。というか、ここから先を走るのは初めてなので、ルートの確認だ。

 国道16号で八王子に出た。予想以上に栄えた街である。中央自動車道を潜って間もなく、コンビニの駐車場でルートを確認した。それにしても駐車場の狭いコンビニで、この競争の激しい御時世、何故このコンビニが生き残れているのか不思議だった。
  コンビニで休憩したにも関わらず、道の駅"八王子滝山"を発見したので立ち寄った。ゴミ箱のある道の駅"八王子滝山"。それだけにゴミが溢れかえっていた。家庭ゴミでは無さそうだったが、ゴミだけを捨てに来る人も目撃できた。ゴミ箱が無いのは非常に不便に感じるが、こういう現状を見てしまうと、やはり全面撤去するしかないと思える。

 ここまでは快適に来れたのに、県道29号に入ってからは信号に捕まりまくり。しばしば路肩に止まっては地図でルートを確認していた事もあり、意外と時間を喰ってしまった。
 それでも東青梅を無事に抜け、県道28号へと移る。ここから先は自然に囲まれ心地よい。日が昇ってきたのでジャケットを脱いだものの、それでは少し肌寒いほど心地よい土地だ。と、快適な気分を味わっていたら、道を間違え軍畑に出てしまった。被害は少なく直ぐに戻れる距離だったが、ここで尿意を覚えた。高台にある軍畑駅は素通りしてしまい、かといってコンビニがあるとも思えない。で、まぁ立ちション。

 名栗村の長閑さに酔いしれていると、突如山の上に巨大な白い物体が見えた。「あれは何か?あそこを通るのか?」そう思いつつ道を走り、見る角度が変わると、巨大な物体は増殖した。これ全て、鳥居観音の一部である。救世大観音・三蔵塔・平和観音、これらの巨大な物体が山の上にそびえ立っていたのだ。今回は寄っていられないとしても、いつかハイキングに来たいものだ。

 「あとは下って秩父へ到着」と思っていたら、「関東平野を一望!」的な看板を見てしまい、進路を反れてしまった。そこは関八州展望台。看板はチラ見だったので1.6kmで着くと感じたが、どう考えてもそんな高い場所に到達しそうにもない。実際16kmの見間違えだったが、朝早く出て時間に余裕があったので、そのまま進む事にした。正丸峠を越え、刈場坂峠へと登り、関八州展望台へ向かう。
  てっきり広い駐車場のある人気スポットだと思い込んでいたのだが、そこにあったのは見落とし易そうな道標と石柱のみ。あとは5分ほど足で登らなければならない。とはいえ、あまり人が来たような地形をしていない。そして景色も、なんと書こうか・・・。霧がかかっていたせいで平野は見えなかった。しかし、晴れていたとて手前の山々は結構邪魔だろう。かなりの手間ではあったが、行かないままにするよりはマシなので、これはこれで悔いはない。

 刈場坂峠へと戻り、今度は木野峠へと向かう。木野峠を下り始めて間もなく、横転したライダーがいた。とりあえず駆け寄るが、こういう時に何をしたら良いか分からない。とりあえずバイクに脚を挟まれていたので、バイクを起こすのを手伝い立ち去った。いや、一応バイクは走りそうだったし、何をして良いか分からなかったし。

 国道299号へ出て直ぐ、道の駅"あしがくぼ"で休憩。これまでも散々見かけたが、ライダーがかなり停まっていた。
 秩父市へ向かう道中、名栗村に次いでまた山の上に異様な建造物を発見した。位置的に松風山音楽寺だろうか?秩父ミューズパークは立ち寄りたかったが、今回は橋立鍾乳洞を優先した為、コースから外れてしまった。
  道の駅"ちちぶ"でルートを確認し、橋立鍾乳洞へと向かった。私が唯一行った鍾乳洞は、高知県の龍河洞。そのイメージで訪れたら、かなりのギャップに肩を落とした。入洞料は200円と安い。しかし、借りたヘルメットは生乾きの臭いがして冠れるものではなく、洞内は狭く短く、そして、これといった見所がない。良く言えば天然である。「あるがままの姿を味わえ!」という事なら、これは正しい姿だ。しかし退屈なものは退屈だった。
  道の駅"あらかわ"に立ち寄ると、お腹がくだってきたのを感じた。そこでウンコ。道の駅とは、本当に便利な場所である。
 鉄道車両公園に寄ろうとしたが、国道140号沿いに無いどころか看板すら見当たらなかったので、通り過ぎてしまった。時間的に少し急ぎ足になっていた事もあり、ここは引き返さずそのまま前進。何と言っても雷電廿六木橋と呼ばれるループ橋が見たいのだ。そのループ橋、滝沢ダムが背後にあった事もあり、かなり迫力満点。まぁグルリと廻っているだけで、単なる道なのだが。
  中津川大橋の手前から県道216号へと入った。そこから6km程で一つの集落が見えて、少し驚いた。「こんな所にも人が・・・」と思えたが、この辺は道も整備されているし、中津川の釣り客もいるだろう。さらに奥には"ふれあいの森"というのもあるので、不思議という程ではない。それ以上に不思議なのが、小倉沢である。
 上野大滝林道と金山志賀坂林道の分岐点。私は予定と間違って、金山志賀坂林道八丁峠へと向かってしまった。ただ刳り貫いただけの様なトンネル。トンネル内部の岩肌は、凸凹していながらも水によって滑らかになっていて不気味だ。こんな人気の無い山奥で、不気味なトンネルに嫌気が差していたら、一つの集落が現れた。日窒鉱山である。
  現代らしさがまるで見当たらない建物。その背後の山腹に、ドカっと構える工場の様なもの。雰囲気は廃鉱な気がするが、「安全第一」など細かい所で現代の匂いがする。「借金を払えなくなった者が送られるのはこういう所か」と勝手に想像し、写真を撮るのもビクビクしてたが、家に帰って調べてみると、これはこれで生きた鉱山らしい。まぁ生きた鉱山なら、私の推測もあながち間違いではない気がするが、純粋にここを故郷とする方々に申し訳ないので撤回しよう。

 ともあれ、荒れた道・滑らかな岩肌・古びた鉱山、初めて通る者には嫌な感じである。登りに登って「またトンネルだ!」と嫌気が差したが、そのトンネルは綺麗に整備されていた。トンネルを抜けると直ぐに駐車場があり、ライダーが何人かいた。そこから見る山々も美しいが、霧がかかっているのが残念だ。
 延々と山を下り、遂に国道299号に出たと思ったら、すぐ右手に"山梨県","小鹿野町"と書いてある。自分の居場所が分からなくなり、国道を目の前にしながら地図を見た。ここでようやく、私が林道を間違っており、かつ不二洞とスカイブリッジが群馬県にある事を知った。

 恐竜ネタを推している神流町。"恐竜センター"とやらもあり、それなりに金をかけている感はあるが、一番の目玉と思える恐竜の足跡が、岩壁にポツポツと付いているだけなのはインパクトが弱かった。
  その先にある上野村は、完全に成功している。総称して天空回廊と呼ぶのだろうか。BBQができ、コテージもある"まほーばの森"・美しく巨大な吊り橋"スカイブリッジ"・関東一の鍾乳洞"不二洞"。日帰りでも宿泊でも楽しめる素晴らしい場所である。
 国道299号を走っていると、交通誘導員がいたので素直に従い左折してみた。遥か高みに橋らしきものが見えるが、まさかアレではあるまいと思っていたら、ソレが"スカイブリッジ"だった。まほーばの森は大勢の客で賑わい、ビックリ。スカイブリッジはとても綺麗で、高さも充分すぎる。高所恐怖症という程ではないが、この高さにはチトびびる。入洞料600円の"不二洞"に入ると、待ち受けていたのは真っ直ぐに伸びた人工的なトンネルだった。まるで秘密基地にでも行くような気分だ。洞内はとても歩き易く、多数の鍾乳石には仏教に因んだ名称が付けられていて見所がハッキリしている。関東一なだけあり、観光客にかなり優しい環境だ。実に秩父の橋立鍾乳洞とは対照的だ。
 14時15分、天空回廊を後にした。ちなみに、ここまでの走行距離は約230km。

 来た道を戻り、金山志賀坂林道の登り口で一時停車。軽くメモを書いていただけなのだが、そこへ見知らぬ中年男性が声をかけてきた。私と同様にアメリカンのバイクに乗る男性は、道を尋ねてきただけなのだが、とうぜん私が詳しく分かる筈もない。しかし、そこからバイク関連の雑談となる。こういう触れ合いが旅の良さではあるのだが、私は帰り道が長いのだ。なんとしても三国峠から"夕日に映える山中湖"を見たいのだ。なんとか話を切り上げようとしたが、その隙が見当たらない。20分経ってしまっただろうか?ようやく空気を読んでくれたので、私は颯爽と峠を登り始めた。下る前に放尿を済ませ、山々の写真を一枚だけ取った。「追いつかれてはならない。もう話に付き合っている余裕は無い。」と急いだつもりだったが、排気量の差も空しく追いつかれて声を掛けられてしまった。今度は愛想を振りまく気はまるで無い。全身からオーラを発し、会話も強引に終わらせ、そそくさと出発させて頂いた。

 登ってきた時は不気味に感じた道も、一度通ってしまえば恐いものはない。とはいえ、あの滑らかなトンネルだけは嫌いだ。
 陽が傾いてきているのを感じつつ、中津川大橋に到着。15時54分のことだ。大峰トンネルを潜り、さらに2つのトンネルを過ぎて、有料なだけに6.6kmの長さを誇る雁坂トンネルに突入。外気が涼しいだけあって、トンネル内を延々と走るのは寒い。そして疲れている上に寝不足だ。どうにかトンネルを抜けると、2km先に道の駅"みとみ"がある事を知り、もう一息頑張って休憩した。
 そこからは国道140号を走り続けて甲府までノンストップ。流石に山梨市に入ると暖かくなってきた。
 17時30分、甲府市の曽根丘陵公園に到着。ここから銚子塚古墳が一望できないかと期待して来たのだが、残念ながら期待は裏切られた。しかし、休日の家族連れなどには、とても良い場所と思える。
 西の空が曇っている事もあり、陽が沈んだように見えるが、まだ若干の明るみが残っている。なんとか三国峠に間に合わないかと思ったが、精進湖へと抜けた頃には絶望的だった。

 9月ともなると夜の富士五湖周辺は気温が低くなりだすのは、短期住民だっただけに知っていた。しかし、本来は15時前には富士五湖を巡っている予定だった為、厚着の用意はしていなかった。
 目も肉体も疲れ、体は冷えきり、尻も痛い。富士五湖道路で早く帰ろうにも、高速を維持する自信はまるで無い。三国峠で自分のペースを維持しようにも、気温の低さに加え霧が発生してしまったら気力が尽きてしまいそうだ。結局、篭坂峠を大型車の後を追ってノンビリ走り、国道246号を迷惑にならぬ程度に頑張って飛ばして、20時15分に自宅に着いた。

 本日の走行距離は429.8km。燃費は1リットルあたり20.98km。かなり蛇行したアップサイドを繰り返しただけの事はあり、宜しくない燃費だ。
 楽しかったが、かなり無茶な計画だったのは反省せねばなるまい。ちなみに、今回はサイクリング用のパンツを追加して履いていったのだが、なかなかどうして、かなり尻の痛みを軽減してくれたように思える。

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