2008年10月4日土曜日

不老山ピストン

 2008年10月4日、朝6時過ぎに起床した。窓からは青空が見えているが、体がダルい。まだまだ寝たくてゴロゴロしていたが、この快晴で出かけないと後悔するのは間違いない。荷物をまとめシリアルを食べて、7時過ぎには家を出た。
  すっかり秋なだけに、朝のバイクはそれなりに寒い。これで目的地が丹沢湖なのだから、余計寒い。永歳橋を渡って左手の落合トンネルを抜け、世附へと向かう。走っている最中、ふと左手を見ると、朝陽を浴びた世附大橋と丹沢が美しい光景を描いていた。
 世附キャンプセンターの前にトイレ付きの駐車場があったので、8時、ここにバイクを停めて不老山を目指す事にした。

 ここから徒歩で先へと進むわけだが、やたらと路肩に車が停車していた。釣り客なのか工事現場の労働者なのか、「40台は並んでいた」と言っても大袈裟ではない。暫く歩くとゲートがあり、一般車両の進入が妨げられる。このゲートの手前にも小さな駐車場があったが、路肩がこの調子なのでバイクを停めるスペースも無かった。
 ゲートを越え、さらに世附川沿いに進む。上の山駐車場から20分程歩いたところで、とても吊橋らしい吊橋が待ち受ける。ある意味、これが不老山ハイキイングの目玉かもしれない。
  この吊橋には渡らず、そのまま道沿いに200m進むと”夕滝”という滝があるらしい。400m先に滝のある気配は感じられなかったが、折角なので行ってみた。そして、これがまた素晴らしかった。
 通常、滝と言えば眼前に水の落ちる凄まじさを感じさせるイメージがあるが、この夕滝は魅せ方が違った。世附側を挟んだ先にある為、間近では見られない。しかし間近で見る必要は無い。山の頂上から流れ落ちているのではないかと思う程、高い位置から水が段々と流れ落ちているのだ。山の中を流れ落ちる一筋の滝、丹沢湖を訪れた際は、是非とも見て頂きたいスポットだ。

 吊橋へと戻り、いよいよ渡る。木とワイヤーで作られた吊橋は、一人ずつ渡るよう促しているだけあって、よく揺れてとても頼りない。緊張しながらも渡り終えると木々に囲まれた。道標はあるものの、どう見てもその方向に道は無い。何処へ進んで良いのかまるで分からぬ状態だったが、とりあえず直進してみると、右手に道らしき道があった。私の判断は正しく、木々に囲まれながらジグザグした山道を延々と歩き始める事が出来た。
  まるで人気のないハイキング・コースだが、途中で2人組の登山客が休憩していたので追い越した。さらに休まず進んでいると、川のせせらぎが聞こえた。右手下方に沢を眺めながら、細い山道を登っていく。ようやく沢が同じ高さまできたら、沢を越え、再び木しかない世界へと突入していった。水場と言えば、この沢と合流する場所だけしかない。但し山道は比較的緩やかなので、水分を取らずとも休まず歩いていける程だ。
 林道へと出て9時11分、世附峠に到着。御殿場市が見えるものの、霞んでいるのが非常に残念だ。秋になったとはいえ、まだ空気の澄み具合が足りなかった。さらに、朱く染まり始めた葉を楽しみに来たのだが、山中ではまだ葉は青々としていた。
  世附峠で10分ほど休み、不老山を目指す。途中から傾斜が急になるが、そこさえ抜ければ頂上は遠くない。9時41分、小山方面への分岐に到着。山々が見えるものの、ちょうど富士山の前に雲があって拝めなかった。不老山山頂まで残り200m。ここであまり休んでも仕方ないので歩を進め、9時48分に不老山山頂に到着。
  不老山山頂にはベンチとテーブルがあるので、仲間と食事を摂るには良いかもしれない。しかし私は一人だ。展望はまるで拝めないので、煙草を吸って立ちションをして、計5分程で早くも下山を開始した。

 山頂から棚沢キャンプ場方面へ下りる事も出来るが、それではバイクを取りに行くのが大変なので、来た道を戻り始めた。登りの際に世附峠で気になった”樹下の二人”。よく分からないが眺望が良いらしく、7分程の距離との事なので行ってみる事にした。傾斜は緩やかな道のりで、ススキに囲まれ眺望が開けていた。先に見える丘の上には檀(マユミ)の木が一本立っており、そこが蘇峰台こと”樹下の二人”だ。檀の木の下にベンチ、なるほど” 樹下の二人”というわけだが、私は一人だ。蘇峰台からは駿河湾まで見えるらしいが、分かるのは空気が霞んでいる事だけ。とはいえ、本日のコースで最高の眺望である。
  世附峠へと戻り、ひたすら下って11時24分、山の上駐車場に到着した。

 国道246号から新安戸トンネルの手前で左手に入って大野山方面へ向かう。案内板に従って、ひたすら、とにかくひたすら大野山を登って行く。道中にボクシングジムがあったのには驚きだった。さらに驚かされたのは、かなり高い大野山頂上にある牧場付近に、集落があった事だ。

 大野山山頂の展望台までは、車で行こうと思えば行けるのかもしれない。私は”まきば館”の駐車場に停めてしまったので分からないが、舗装された道路が続いているように見えたので、歩くのが嫌いな人は車で行ってみると良い。
 展望台へと歩き出すと、本日見た中で最も素晴らしい眺望が拝めた。あの登下山した苦労が、一気に否定された気分だ。とはいえ私も、山頂にいた大野山のハイキング客達の努力を侮辱しているようなものだが。
 間近で牛を見られたので、とりあえず目的は果たせた。しかし、この霞んだ空気。これが何よりの問題である。まだ季節的のものなのか、それとも汚染的なものなのか、後者だとすれば真剣に考えるべきだ。
 この大野山乳牛育成牧場。眺望が素晴らしく、牛が間近で見られても、特に客に媚びる姿勢は見られない。まきば館には何も無さそうで、唯一あるのが飲み物の自販機一台。そのラインナップの大半が瓶の牛乳とコーヒー牛乳なのは唯一の救いだ。とうぜん牧場に来たからには純粋な牛乳を選ぶべきだろう。ラベルを見る限り山北産らしいが、住所からではこの牧場産なのか否か私では区別がつかない。自販機で売っているだけあり、味も普通だ。まぁ牧場で牛乳を飲んだ事に意義があるのだが・・・。私が牛乳を飲み終えた頃、一組のカップルが牛乳の味を尋ねて来た。この時の私の回答が「まぁ、普通ですね」だ。もう少し気の利いた台詞は言えなかったのか、私は!「普通ですけど、この状況なら牛乳を選ぶしかないですよね」とか「お連れさんの乳と味比べさせて下さい」とか。疲れてたせいもあるのだろうが、これは反省すべき点だ。

 山北の”ラーメン ガキ大将”でニンニクたっぷりのコテコテスペシャルを食べ、14時には帰宅。英会話やら散髪やら、時間に追われていたので、休む間もなく洗車を開始。先週程ではないものの、山を登った以上、やはり疲れているものだ。

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