2009年5月1日金曜日

電車で西日本 その1

 2009年4月29日、体調は最悪である。前日の午後には鼻水が止まらなくなり、17時になるのを心待ちにしながら仕事に励んだ。帰宅して夕食を摂ったらすぐ寝たのだが、22時頃に目覚め眠れなくなる。汗をかくわけでもなく意味なく時間が過ぎていったので、4時頃湯船に浸かった。これはこれで間違いだったかもしれない。
 6時には家を出て山に登りたかったが、熱はまだしも鼻水が止まらないのでは諦めるしかなかった。なんとか眠りに就き、8時半頃起きたら美容院が開くのを待った。ここで洗髪されるのも問題だが、連休初日なだけにバッサリ切っておきたいから致し方ない。
 11時頃、そのまま近所の温泉へ向かった。自宅で汗をかけずにいるなら、いっそサウナでドバッとかこうという算段だ。これがどういう結果を招いたか分からないが、ともあれ昼寝をして起きた16時の時点では38度を超えて熱があった。とりあえず今がピークなのだろう。後は旅をしながら回復していけば良い。22時10分、熱は38度を超えていたが旅に出た。

 22時45分の電車に乗って熱海へ。ここから23時23分発のサンライズ出雲に乗り換える。私が取ったのは一番安い寝台なので、プライベートなど無いに等しい。窓側を頭に縦に並んだ寝台席。窓側3分の1ぐらいは敷居があるものの、あとは隣が丸見えである。他人との空間を共有するのも旅の楽しみとして選んだ事なので文句はないが、私の風邪が移った方がいたら誠に申し訳ない。
 時間が時間なだけに景色を楽しめるわけでもなく、とにかく寝る事にした。ブランケットは用意されているものの、全身を包みきれるものでもなく、枕に至っては存在すらしない。カーペットの上に雑魚寝する感じだが、床暖房が効いているのが唯一の救いだ。そのお陰か朝5時頃に熱を計ってみたら36.9度まで下がっていた。
 8時には完全に起床したものの、何が出来る訳でもない。窓からは長閑な風景が覗けるが、それも延々と見ていれば飽きてしまうわけで、MacbookとiPhoneで暇を潰しつつ、9時58分、列車は出雲へと到着した。
  出雲市駅前は清閑としていた。単に平日だからなのだろうか?それともこの静けさこそが、神々の住まう土地としての神聖さなのだろうか?商店街に行けば何かあるかと思ったが、それをしたらバスに間に合うか危ういので、大人しく駅前でバスを待っていた。
 一畑バスに乗り日御碕へ。走ること約45分、停留所に着く少し前で日御碕神社が一望できた。赤の際立つ綺麗な神社。天照大神を祀ってあるそうなので珍しく賽銭したものの、特に願う事はなかった。

  水の透き通った日本海。ダイビングをするには良い場所だろう。ウミネコの繁殖地というだけあり経島にはウミネコが無数にたかっていた。その上に鳥居が見えたが、それが何を祀っているのかは分からなかった。日御碕の灯台は白く美しかったものの、上に登ったところで見えるのは海だろうと思い、これは登らず。その辺を散策した後、日御碕神社を一望できる場所へ行こうとしたが、流石に何も食べていないためイカ焼きを食べた。なんとも柔らかいイカである。さらには私の求めている場所への近道も教えてくれた。日御碕神社を撮って目的を遂げた私は、早くもバスの停留所へと向かった。バスの出発時刻まで40分はある。近くの休憩所で”ひやしあめ”とやらを飲みながら時間を潰し、12時39分のバスで出雲大社へと向かった。
  出雲大社、まぁここは訪れただけで満足である。縁結びの御利益があるらしいが、結ぶ相手のいない一人旅、否、一人だからこそ願掛けるのか?ともあれ舐める様に見て立ち去った。このあと出雲大社前駅で30分ほど電車を待っていたので、もう少し堪能して誰かと縁があるよう願掛けをすれば良かったものの・・・。
  14時1分の一畑電車に乗り、松江しんじ湖温泉まで直行。古く汚れたローカル電車に乗りながら宍道湖を眺めるのは良かったが、あまりに窓が汚かったのが残念だ。

  松江に着いて徒歩で月照寺へ向かった。徳川家康の孫にあたる松平直政が生母月照院の霊牌を安置する為に復興した寺だそうで、九代に渡る大きな墓碑があったが、歴史に興味のない私にはどうでも良く、ただ寿蔵碑という亀の上に石碑が乗った物をオブジェ的に見たくて来ただけだ。頭を撫でると長生き出来るそうな出来ないそうな。しかし私は老いる前に死にたい派だ。

  丁度良いバスが無く、というかバス停が見当たらず、松江城にも徒歩で向かった。敷地の広い松江城は城址としてもかなり残っており、かなり印象が良い。それに加え黒の際立つ天守が何とも男らしい。入城するつもりは無かったが、松江市を一望したくて入城してしまった。中の作りは古さを残しており、階段は急である。未だに3日前のランニングの影響が残っていたのか、下る時にはかなり腿がつらかった。

 1時間かけて堀川を巡る遊覧船には興味をそそられたが、これこそ一人ではつまらないだろうと思い、諦めてぐるっと松江レイクラインに乗り島根県立美術館へ。
 17時頃には到着し、入館料を払って時間を潰すかと思ったら、夕陽と宍道湖うさぎを見る分には無料だった。カメラを首からぶら下げているので金を払ってまで展示品を見たいわけでもなく、かといって日没までの約2時間を潰せる用事も無いので、とりあえず館内のレストランで一足早い夕飯を摂った。とはいえそれも早々に食べ終わってしまい、煙草の吸えぬ場所で時間を潰せるわけでもなく、美術館の外でMacbookをいじりながら時を過ごした。
 17時半になり宍道湖側に周ってみると、空の向こうには雲がかかっていた。台無しである。松江より先の場所で宿を取っておけば良かった。そう悔いても遅いので、徒歩でホテルへと向かった。既に商店街は閉まり静けさだけが漂っていた。

 宿泊先は松江シティホテル本館。朝食にプチ弁当を出してくれる予定だったが、私は翌日5時12分の電車に乗りたいので機会を逃した。それどころか本館は6時まで扉が閉まっている上、従業員も不在らしい。追加料金1,000円で別館に泊まれば、24時間出入り可能との事だが、そんな事で追加料金を払うのは馬鹿らしい。そうして悩んでいると、別の案を持ち出してくれたので問題は解決した。この機転には感謝したい。

 部屋に入るとそこは安く仕上げた様なレイアウトで、トイレにウォッシュレットは無いわ、髭剃りは常駐してないわと、料金が安いだけの事はあった。インターネットには無線で繋ぐ事ができるが、これが接続が悪いというか速度が遅いというか、とにかく不快にさせてくれる遅さだった。湯船に浸かって早々に寝ようとしたが、旅先で簡単に眠れる性格ではないので、結局24時頃まで起きてた気がする。

0 件のコメント:

コメントを投稿