2008年8月31日日曜日

シダンゴ山

 2008年8月31日、朝7時に目が覚めたので二度寝をしようとしたが、天気が良い事に気づいた。即座に思考を切り替え、朝食を摂り支度をし、バイクに跨がり寄(やどろぎ)へ向かった。

 寄とは神奈川県足柄上郡松田町の一角にある。松田町と秦野市を繋ぐ国道246号から県道710号へと入り、山間を延々と走ると不意に集落が見えてくる。そこが寄だ。そのまま何処かへ抜けられるわけではないので通過する事もなく、これといった有名所もないので観光にも適していない。知り合いでもいない限り行く事はない土地だ。

 自然休養村管理センター付近に駐車場はあるものの、施設利用者以外駐車禁止の注意書きがあった為、バイクを停めるのに躊躇した。施設は使わないのだが、山に登ろうとする人間を拒むまい。しかも私は場所を取らないバイクである。どうしようもないので、バイクを停めた。
 ここでデジカメを忘れた事に気づく。幸いiPhoneを持っていたが、バッテリー残量20%。極力節約して、後は天に祈るしかない。

 8時26分、シダンゴ山に向けて歩を進める。河原でBBQをやる若者達とは実に対称的だった。
  歩き出してすぐ、橋の上に大きなゴミを発見した。エロ本だ。昨日の雨のせいか、かなり濡れている。海辺や河原にエロ本が落ちているのは分かるが、橋の上に落ちているとは大したものだ(?)。
  歩き出して3分程で、シダンゴ山と宮地山の分岐となった。宮地山にも行く予定だが、ここはシダンゴ山へと向かう。舗装された道が延々と続くのかと不安になる。傾斜は急になり、路面は濡れ、実に歩き難かった。そこいらに脇道があり、自分の進行方向で良いのか自信が無くなる。そこでiPhoneのGPS機能に頼るが圏外・・・。早くも嫌になっていると、一つの扉によって道を塞がれていた。「間違えた・・・もう帰りたい」そう思いながらも良く見ると、猪や鹿の下山を妨げるものらしい。登山者の侵入は許されているのだが、扉を閉めるのを忘れずに。

 扉をくぐるとそこは完全な山道。植林帯の為、木陰が延々と続くのは良いのだが、登りというだけで疲れるものである。途中で水場があったので顔を洗った。これで少し気持ちが楽になったが、そんなものは瞬く間に吹き飛んだ。
 9時9分、「シダンゴ山 20分」の道標を見て少し安心した。なかなか早いペースで登っているではないか。しかし、ここからは階段状の道が続き体力を奪って行く。登っては立ち止まり、登っては立ち止まり、「もう二度と山に登るか」と思うのはいつもの事だ。
 先の方に水色の物が見えたので「頂上の山小屋の屋根だ」と思ったが、よくよく考えると単に空の色である事に気づいた。そもそもシダンゴ山に山小屋など無い。しかし、それは頂上が近い合図である事は、後になって気づいた事だった。
 「シダンゴ山 20分」の長さに嫌気がさした頃、目の前に違った景観が見えた。背の低い木々が並び、道は草地になっている。そこは、なかなか綺麗に整備されたシダンゴ山の頂上だった。登頂してしまえば、今までの嫌な想いなど吹き飛んでしまう。なんとも簡単な性格だ。
  9時26分、シダンゴ山山頂に到着。
 シダンゴ山山頂からは松田町が一望でき、その果てには海岸線まで見える。しかし、それに感激する余裕も無いほど疲れていたので、とりあえず木陰に座り込み一服した。蠅がブンブンと五月蝿いが、もはやどうでも良いほど疲れている。一服を終え素晴らしい景観を堪能し、9時36分、宮地山へと歩を進めた。

 木陰の中を緩やかな坂道が続き、とても快適に下山していくのだが、"宮地山"という以上そこも山である。散々下りてまた登るのだけは嫌である。道中で鹿を目撃したが、知床とは違い警戒心が強くドンドン逃げてしまった。見た事もないような蜘蛛や自然の創り出した芸術に感激しながら進んでいると、登り道となった。
 「こちとら散々楽させて頂いたのだ、少しの登りぐらい軽いもんよ」と思ったのは短い間で、やはり登りは嫌なものだ。ようやく登頂したと思ったら、そこにあるのは道標のみ。どうやら宮地山ではないらしい。では、この山頂は何なのだ!?
  偽山頂から間もなく、巨大な建造物が見えた。こんな山道に建造物、実にオーパーツ的だと思っていたら、単なる鉄塔だった。「とはいえ、こんな所に鉄塔を作っただけでも凄いものである。部材の運搬とかどうしたのだろうか?」と関心していたら、すぐ先に林道を発見してガックリした。
 そこでは舗装された林道に入らず、再び山道を下り、シダンゴ山山頂から50分経った頃、自然休養村管理センターと宮地山へとの分岐点に立たされた。正直もう帰りたい。それでも何とか宮地山へと歩を進め始めてすぐ、「宮地山 5分」の道標が見えた。諦めなくて正解である。
  宮地山山頂には何も無い。景観も楽しめない。休憩するにもベンチが無い。唯一私の気を惹いたのは、明らかに食べたらヤバそうなキノコだった。これを見れただけでも良しとしよう。
 林道と合流し、舗装された道を歩く事になる。ゴールが近い事を感じ一服しながら余裕をこいて歩いていたが、濡れた路面は滑り易く、とても油断できる状態ではなかった。

 民家が現れ始めて間もなく、私の向かう大寺集落方面の道が通行止めになっていた。まさか人も通れないことはあるまいと思い、表示を無視して道なりに歩くと、通行止めの理由が分かった。トラックが脱輪していたのだ。宅配便ならまだしも、それ以外のトラックが何故こんなところまで来たのだろうか?既に消防隊が駆けつけていたのだが、トラックが炎上しているわけでもあるまいし、消防隊とはこんな事まで対処するのだろうか?
 田代向と大寺集落への分岐まで来ると、かなりの消防団員が目についた。消防車も止まっており、山登りを楽しむ私が場違いに感じた。大寺集落へと歩いている最中、一人の消防団員が「この先で放水していますので気をつけて下さい」と声を掛けてくれる。放水?トラックとはまるで別の方向なのだが、どういう意味があるのだろうか?疑問に思いつつ先に進むと、確かに若い2人が放水をしていた。なるほど、消防団員は単なる防災訓練で、たまたまトラックの近くに居合わせただけか。ならばトラックの近くにいた消防団員も、単なる野次馬なわけだ。
 横手に中津川が見え、いよいよ自然休養村管理センターも間近かと思ったら、最後に登りが待っていた。長い距離ではなかったが、それでも辛いものである。そこを登りきると、行きに通ったシダンゴ山との分岐に着き、後は下るだけ。
朝落ちていたエロ本は、まだ落ちていた。朝いたBBQの若者たちも未だ居た。それどころかBBQ客が増えていた。中津川で顔を洗い、11時10分、自然休養村管理センターに到着。
 田代向までは中津川沿いをバイクで走って、県道へと移った。寄、次回BBQをやる時は是非来たい場所だ。

 足腰は鍛えたので、今度はスポーツジムで軽く上半身を鍛える。ロッテリアでエネルギーを補給し、自宅でシャワーを浴びる一方洗濯機を回し、バイクの手入れを軽くして一段落。後は休息に時間を費やすだけだ。

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